41話▽どうか私を…… ページ43
『ぅ……痛……』
私は昔からとにかくツイてなくて巻き込まれ体質。
だから何でもないところで不慮の事故に遭ったりする。
……今日みたいに。
迎賓フロアには強い騎士が着ていそうな、槍を持った"甲冑"が飾ってある。
当然中には誰も入っていないので動くはずもない。
でもどういうワケか、たまたまその前を通り過ぎたら倒れてきて……
『重……ゲホ』
この有様だ。
槍は見事に私の腹を突き刺して、じんわり温かいモノを腹部に感じる。
とにかく痛いし助けを求めたいけど……如何せん甲冑が重いッ！
くそぅ、痛いし重いし苦しいし！
早く解放されたいよぉ……！
(い、いっそ
死んだら傷はリセットされるはずだし……
でも今動けないな……ど、どうしたら。
……"舌を噛み切る"とか？
『い、痛いのはイヤだなぁ〜……』
1人涙を零しながらそう呟くと、こちらに近づく足音が。
「おわッ！？お前なにやってんだよ！」
『……ジャ、ジャブラさ……』
通りすがりのジャブラさんが慌ててこちらに駆け寄ってくれた。
彼は重たい甲冑を軽々と持ち上げると、私のお腹に刺さった槍に手をかける。
「チッ、引き抜くのは得策じゃねェか……」
『う、ジャブラさん』
「ア！？何だ」
痛い痛い痛い。さっさと楽になりたい。
でも着実に血が減ってきて腕に力が入りづらくなってる。
そうだ……目の前の彼に殺してもらえば。
きっと相手を苦しませずに殺す術も、知っているはず……！
『や、優しく、してください』
「は、ハァ！？！？！？」
『い、痛いの、怖いので……お手柔らか、に……っ』
涙で潤ませた瞳を向けて訴えるようにそう言えば、ジャブラさんは驚いたように体を揺らした。
──ズボッ！
その拍子に、私を突き刺していた槍が勢いよく抜ける。
ジャブラさんが引き抜いたのだ。
そっか。彼は私を"失血死"へ導いてくれたのか。
『……あ、りがとうございます、ジャブラさん。
……ジャブラさん……？』
「」
『あ、え、な、んで顔を赤くして……硬まって……？
ジャブラさん……ジャブラ……さ……』
この後迎賓フロアには、無事全快状態で復活した私。
そして何故か赤面状態で動かなくなった彼が残されたのだった。
……本当に死ぬって楽じゃないな！
「その言い方は……反則だ
『え！？何がですかぁ！？！？！？』
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なめこ(プロフ) - I r°さん» ありがとうございます！これからも自分のペースで更新頑張らせていただきます！ (2020年12月6日 10時) (
レス) id: 64cb88d55b (このIDを非表示/違反報告)
I r°(プロフ) - すごく好きです！これからも頑張ってください！！ (2020年12月5日 15時) (レス) id: e50f3d6e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2020年11月12日 21時
