29話▽面食いねェ！ ページ31
ここでの食事は高級ホテルのような上品な味がする。
やはりスパンダム長官が"お坊ちゃま"なのもあり、その辺は煩いのだろうか。
なので当然、ここで出されるおやつだって美味しいのだ。
『う、ウマぁ〜〜……！！！』
ギャサリンお手製のマカロンは、外はサックリ中はしっとり！
１口齧れば広がる、ラム酒の香りとレーズンの酸味ッ！！
ラムレーズン味のお菓子は紅茶にも合うっ！！！
「うふふ、ありがと」
『本当に美味しいよ！今すぐにでも料理長になれちゃうレベル！」
ギャサリンは本当に料理上手。
彼女は特別なポストに就いているワケではないけど、実力はシェフ並みだ。
「もう、Aったら。
でもそうね、料理の腕には自信があるの。
あのお方のために……いつか一緒に暮らす日のため」
『"あのお方"？』
「あぁ、
まさか出てはこないだろうと思っていた名前が耳に入り、私は紅茶を吹き出してしまった。
ゲホゲホと咳き込む私の背中を、ギャサリンは優しくさする。
「大丈夫！？」
『ゴホッ！……ごめん、勢いよく飲んじゃったみたい』
(失礼だけど、あの人平気で暴力とかふるいそうだよ……！)
現に私、殺されたことあるし！壁指銃もくらったし！
心の中で悪態をつくも、ギャサリンに向かっては流石に言えず。
ただ友人として、何とか彼女には"ルッチさんの被害者"にならないでほしいという思いがあった。
『ち、ちなみに何故ルッチさん……』
「決まってるでしょ！
顔！」
……そうだ、こういう子だった！
う〜む、何か方法はないものか。
『で、でも！他にも魅力的な人はいるんじゃない？
ギャサリン人気者だし、今まで会った人とかさ！』
この司法の塔では、ギャサリンは本当に人気者なのだ。
この前も給仕の男性複数人から告白されている現場を目撃した。
たしかに彼女、さっぱりした性格で魅力的だもんね。
「うぅん、ルッチさんには及ばないけど……イイ男はいたわね。
"フーズ・フー"さん。セクシーな方だったわ。
でも5年くらい前にここを去ってしまったの」
『去った？』
「なんでも任務を失敗したみたい、厳しい世界よね。
まぁルッチさんの方が好みだったしお断りしたけど」
"彼はミスも知らない完璧人間だもの"、とうっとりした表情で話すギャサリン。
そんな彼女を見て、何を言っても無駄だと悟る。
私は考えることを放棄して目の前のマカロンを口に運んだ。
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なめこ(プロフ) - I r°さん» ありがとうございます！これからも自分のペースで更新頑張らせていただきます！ (2020年12月6日 10時) (
レス) id: 64cb88d55b (このIDを非表示/違反報告)
I r°(プロフ) - すごく好きです！これからも頑張ってください！！ (2020年12月5日 15時) (レス) id: e50f3d6e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2020年11月12日 21時
