21話▽お久しぶりの決め台詞 ページ23
ここは"美食の町・プッチ"。海列車が停まる駅の1つである。
昨年海列車が全線路開通したことで、以前よりもアクセスしやすくなったそうだ。
私はここに配属されるまで海列車を利用したこともなかったし、町の存在すら知らなかったわけだけど……
というか"海列車"だって、今日まで名前しか知らなかったんだけどさ！
とにかくそこに、今日はカクとカリファさんと一緒に遊びに来ていた。
慣れないメンツにまだ緊張はしているけど、久しぶりの遠出は正直凄く楽しみだったよ。
『だ、誰かッ……！』
──だからまさかこんな目に遭うなんて、想像もつかなかったんだってばぁ……！
「早く出せって。殺されてェのか？」
『ヒ……』
遡ること数分前。
"ちょいとココで待っとれ"と言い残して、カクはカリファさんとどこかへ行ってしまった。
だから私はただぼうっと突っ立って、町の景色を見渡していたんだけど……
(まさか運悪くチンピラ軍団に絡まれるなんて！)
いきなり背後から口を塞がれ、路地裏に連れてこられて。
今はこうして"有り金"を要求されている！
本当、自分の巻き込まれ体質を恨むよっ！！
『ぁ……こ、これ』
「フン、早くしろよな。
……シケてんなぁ？
お前の
連れって……カク達のこと？
この人達、いつから私に目付けてたの！？
「本当にこれだけか？
隠してんじゃねェだろうな」
『ほ、本当にこれだけッ……』
「チッ」
「じゃあもうお前には用ねェわ」
ザク。
胸とお腹の間辺りを、刃物で刺される。
痛みと共に"温かみ"がじんわりと広がる。
私、また死んじゃうんだ。
こんな、こんな"私なんてどうでも良い"って思ってそうな人達に殺されて。
誰も見ていないから、彼らは裁かれることもないだろう。
痛いのに、辛いのに、苦しいのに。
それなのに、今起きた"私の死"って……無意味だったってこと？
(……そんなの)
──そんなの嫌だ!!!──
「……は！？」
「ちょ、コイツ生きてやがるぞ……！」
体の奥底から湧き上がってくる勇気。
瞳に正義がキラリと光る。
目の前の男達はどこからか拳銃を取り出し、こちらに銃口を向ける。
何故だろう。全く怖く感じない。
……いや、怖がっている
『今からこの私があなた達を裁く！
私が死んでいる限り、この世に悪は栄えない！』
だって私には、"10分間"しかないんだから！
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なめこ(プロフ) - I r°さん» ありがとうございます！これからも自分のペースで更新頑張らせていただきます！ (2020年12月6日 10時) (
レス) id: 64cb88d55b (このIDを非表示/違反報告)
I r°(プロフ) - すごく好きです！これからも頑張ってください！！ (2020年12月5日 15時) (レス) id: e50f3d6e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2020年11月12日 21時
