17話▼1匹の蝶 ページ19
▼カリファ視点
私達の職場に新入りが来た。
2代目秘書官。名をルース・A。
何かしらの能力者ではあるようだけど詳細は不明。
私の中では、私にとっては、ただそれだけ。
「そういや今度、Aと遊びに行く約束をしたんじゃ」
だからカクにそう言われた時、私は特に興味もないような声を出してしまった。
「……それを私に言うってことは、私へのお誘いでもあるのかしら？」
「歓迎会みたいなもんじゃ。
彼女も2人きりよりかは息苦しくなくて良いじゃろう。
新しい仲間の情報は、少しでも持っておくべきだと思うてのう」
"カリファも買いたい物がいくつかあるじゃろ？"と問われれば、私にはNOと言う理由が残されてはいなかった。
私自身、彼に甘いところがあったのは否めない。
年が近い分、彼とは長い付き合いがあるからだ。
だからはじめから断るつもりもなかったのだけれど。
「随分と彼女に積極的なのね？」
「そうか？
まァ確かに……ちと興味はあるわい」
カクはそう言うと、無邪気に笑ってきた。
彼はいつだってそうなのだ。
その笑顔からは素性なんて想像もつかないような、そんな風に笑っているのだ。
「何せ"
──まるで新しい玩具を手に入れた子供のように。
(……気の毒ね)
私達は政府の秘密組織・CP9。
もちろんそこには秘密にすべき理由がある。
正義のため、復讐のため、自立のため。
目的やきっかけはどんなものであれ、私達は"殺し"をしているから。
そしてそれを政府が公認してしまっているから。
ためらいや倫理観なんてものはとうの昔に置いてきてしまった私達。
そしてその巣窟にやって来てしまったのが……例の秘書官。
殺人どころかナイフすら握ったことがなさそうな少女だった。
着ている黒いスーツもどこか似合わないほどに、清廉潔白そうな少女だった。
まるで蜘蛛の巣にかかった蝶のよう。
運が悪かった、としか言えないわね。
私も逃してやろうなんて思いは微塵もないもの。
「まぁここ数日、朝から晩まで任務詰めだったものね。
たまには息抜きも必要かしら。新しい洋服も欲しいし」
「カリファならそう言うと思うとったぞ！
そいじゃ日程がまとまったら、また伝える」
満足気なカクを横目に、私は静かに笑ってみせる。
(……)
彼女は一体いつまでもつかしら。
この狂気まみれの空間で──いつまで正気を保っていられる？
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なめこ(プロフ) - I r°さん» ありがとうございます！これからも自分のペースで更新頑張らせていただきます！ (2020年12月6日 10時) (
レス) id: 64cb88d55b (このIDを非表示/違反報告)
I r°(プロフ) - すごく好きです！これからも頑張ってください！！ (2020年12月5日 15時) (レス) id: e50f3d6e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なめこ | 作成日時：2020年11月12日 21時
