Name of You

お前は誰だ　YS side ページ8

部屋に戻るとソファに沈み込んで小さくため息が出た。

全く…

なんて1日だ。

YS「私を抱いて…か。」

俺は…抱くんだろうか？

あいつを？あの人形みたいな目をした女をか？

抱かないんだろうか？

なら、なんで部屋に呼んでるんだ俺は…？

冷蔵庫から水を出して口に入れるとポケットから煙草を取り出した。

「参った…な。」

いつの間にか俺の頭の中はあいつでいっぱいじゃないか…。

煙草に火を灯すとゆっくり立ち上がる煙が少し目にしみて

ッチ

思わず舌打ちが出てた。

♪〜

「私。」

…来たか。

点けたばかりの煙草を揉み消すとゆっくりと扉に向かった。

少しだけ扉を開けて顔を出すと

やっぱり人形の様に張り付いたあいつの顔…

少しは笑えよな。

YS「入る…か？」

俺じゃ無く俺の後ろを見てる様な目でゆっくり頷くあいつを扉を開けて中に入れた。

YS「座れよ」

さっきまで座っていたソファを顎で差して、俺はベッドに腰掛けた。

表情もほとんど変えずソファにゆっくり腰掛けたあいつ…。

さて…どこから絡まれてやるかな…。お前の糸に。

多分…俺を見てるんだろうけど、お前と目が合ってる気が全くしないな。

YS「なぁ。どこ…見てんだよ。」

「あなた…だけど？」

YS「お前は俺を見てないよ。俺の後ろでも見てるみたいだな(笑)」

一瞬…ほんの一瞬お前と目が合った気がした。

「そう…」

YS「ちゃんと俺を見ろよ。俺の眼を見てみろ。」

「見てる…つもりなんだけど…出来ないのよ。」

なぁ、眼を見るって怖い事だよな。

自分の考えてる事を全て見られそうでさ。

でもな。

YS「出来るさ。俺を見てみろよ。俺を素通りするな。俺はここに居る。ここに居る俺を見ろよ。」

無機質だった瞳に少しだけ動揺が走ったように見えた。

「ねぇ…イェソン」

YS「ジョンウンだ」

「ジョン…ウン？」

俺はしっかりあいつの眼を捕らえようと瞳を見つめて

YS「俺は、ジョンウンだ。お前は誰だ？」

と伝えた。

「ジョンウン…」

俺の名前を呟きながら少し瞳を揺らした後、またあの目に戻って

「ユウ。私はユウよ。Y･O･Uでユウ」

そう答えた。

その一瞬揺れた瞳に、動揺が走った瞳に、俺はこいつの何かを揺さぶってるのかもしれないって気になったんだ。

お前の勘が…正しいのかもしれないな。

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