目黒のトリコ (ページ21)

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20コマ目 *黒ページ21

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｢てか。阿部ちゃんと2人の時めっちゃ楽しそうだったね、なんかカレカノぽかった｣

自分の口から放たれたその言葉とどこか棘のある言い方にハッとした

何言ってんだ俺

Aと話していた時に、ふと楽しそうに笑い合っていた2人の姿が浮かんできた

何故か分からないがイライラとした感情と心のモヤつきに襲われて、つい口に出てしまった

慌ててAの顔を見るが、一点を見つめてこちらの話は入っていないようだった。

たまに、どこかを見つめ何かん考え込む彼女を見るのは珍しくない。

康二いわく俺といる時だけにこのモードに入るようで、俺と康二はA七不思議として扱ってる

その時も大抵、話しかけても反応はせず、モードが解けるのを見守るのだが、今回は内容が内容だから確認してしまった

｢聞いてる？｣

そう問いかけると慌てたように返事をした

彼女の表情から何も聞こえていなかったようで
いつものやつか、良かった、、、とホッとした

しかし、胸のモヤモヤは消えないまま

何故か耳が赤いような彼女を不思議に思いながらも、胸の消えないモヤ付きに少しイラつく

歩き出すと

少し遅れて彼女も歩き出す

俺の隣に来ると、風が当たりフワッと髪の毛が浮く

綺麗だな。

指先で髪をいじり遊ぶ

あ、やべ。無意識だった。

彼女の顔を見るとはぁ？と目を見開いていた

｢ちょ、人の髪の毛で遊ばないでよ、もう｣

お前は本当に猫か！！っと仕返しをするかのように、俺の頭をガシガシと撫でた

｢うわ、ちょ｣

突然の事で驚くと、きゃははと笑いながら走り出し、前にいる康二とさっくんの頭もガシガシ！と乱しながら部室へと向かって走っていった

｢うわあ！！おれっちの髪の毛がぁ～｣

｢なんやねん！ははっ！あの小娘～！まて～！｣

パタパタとAを追いかける2人

｢ふは、猫はどっちだよ｣

Aに撫でられて何かが沸き立つ感覚があったがその感覚が何なのかは分からない。

そして、俺だけでなくて、康二と佐久間くんにも同様に頭を撫でる姿を見て、胸がぎゅっとなったような気がした。

｢俺、、、病気かな、、、｣

自分の胸の以上に不安を抱えながら、俺も小走りで3人を追いかけ部室へ向かった。