生意気ボーイ

サノレオ ページ3

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アユ｢お疲れ様〜！大活躍だったじゃん、Aちゃん｣




『いえ！そんなことないです！アユさんの仕事の何分の1です。
いや、何万分の1です！』





アユ｢可愛い〜♡食べちゃいたい｣





『食べ…え？』





アユ｢ふふ、なんでもないのよ冗談よ冗談。
それより、ここなんだけどさ、｣





入荷リストを手にしながらアドバイスを私に仰いできたアユさん。


私なんかのセンスよりアユさんの方が勝っているのにわざわざ私に聞いてきてくれるのは私を上達させるため






アユ｢ありがとう、仕事終わったのに付き合ってくれて！
じゃあ、飲みに行こっか｣




『はい！』






お疲れ様でした、って声が行き交うフィッティングルーム







いち早く私服に着替えたアユさんがロッカーにもたれ掛かりながらスマホを弄っている





連絡先は、最近いい感じの彼氏さんなのかな、って一人で想像しては微笑ましくなった





アユ｢お、終わった？｣




『はい！アユさんこそ、大丈夫ですか？彼氏さんとのメール』




アユ｢うん、まぁね！｣





顔を赤らめながら、ボーイッシュなショートカットを毛先で巻いて揺らす。





かっこよかったり可愛かったりするそのアユさんのギャップが私は大好きで、そこがアユさんの魅力だったりする






アユ｢カンパーイ！｣





『乾杯です！』







注がれた黄色の液体に、私達は喉を鳴らした




注がれていく爽快感が私たちを支配して、今日も一日頑張ったなぁ、なんて言葉を造らせる




アユ｢もぉ、ベテランみたいなこと言わないの。笑

あんたはまだまだ若いんだから｣




『若くないですよ！もう、お肌のノリとか悪いですし』




アユ｢はぁ、あんたと言いあいつと言い、何でそんなにお肌プリプリかなあ｣




『あいつ、って誰ですか？』






酔いが回ってきた頭で何気なしにそう問う。







今思えば、これが彼の名前を始めて聞いた瞬間かもしれない





彼にこれからを翻弄されるなんて知らないその時の私は、炭酸の苦い液体を飲み込みながら顔を赤らめて聞いたんだ







アユ｢知らない？佐野玲於っていうの｣









『サノレオ…』









新種の怪物に付けられた名前みたい




そう思って一人で笑ったりしてた






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