出会い 工藤新一篇 ページ43
ひとしきり泣いたAは、水道で顔を洗って、温めたタオルで腫れた目を押さえつけていた。
『うー腫れが引かないー』
言うことは文句ばかりだったが、その表情はとてもスッキリとしていた。
『…新一、ありがとう』
「あ?」
『泣かせてくれて。ありがとう。おかげで、これからはずっと気持ちよく笑えるよ』
「…あぁ。約束したからな」
〔Aが笑ってたら俺も笑うし、泣いてたら俺が笑わせる。必要なら一緒に泣いてやる。だから――輝き続けろよ〕
そんな言葉を、新一が発したのはそう昔のことではない。
『笑うために泣かせる…ってなんか矛盾してね?』
「うっせぇ」
『博士も、ありがとね。話聞いてくれて』
「わしは何もしとらんよ」
『してくれたよ。黙って話を聞いてもらうことが、こんなに落ち着くなんて、知らなかったから』
さて、今後はどうしたものか。
落ち着いたところで見えてくる、1つの問題。新一は、〔これからもこの家で、Aと住めばいいだろ〕と言い張るのだが…。
『危険すぎる。私や博士は知ってるからアレだけど、周りの人からすれば、工藤新一が消えて代わりにガキが現れた、って感じなんだよ?新一が消えたその日から、縮んだあんたがこの家に住みだしたら、どんなバカでも関係性を疑うよ』
「そうじゃぞ、新一」
下手に〔工藤新一〕としての行動を起こせば、何も知らない人は不審がる。小さくなった新一の、その存在が確立するまでは慎重に動かなければならないのだ。
そのとき、電話が鳴り響いた。書斎に置いてある電話の受話器を、Aが取る。
『もしもし…あ、蘭ちゃん!…うん、そうなんだ。え?来てないよ?…え、マジで?あ、や、大丈夫!うん、わかった、なんかあったら連絡するね』
Aは受話器を戻した。
『蘭ちゃんがここに来るって…!』
「マジかよ…」
『しょうがないじゃん…そうだ!蘭ちゃん家へ住んじゃえば!?』
「はぁ!?なんでそーなんだよ!」
『新一の遠い親戚だ、とかなんとか言って…親は海外を放浪としてて、新一に預けに来た。でも新一は重要な事件が立て込んで、しばらく帰れなくなっちゃって、家主のいないこの家に私とあんたが住むのも変な話…だから、毛利家へお邪魔したい!ってことにすればいいじゃん!』
「…危険じゃねえか?」
『あんたがうまく子供を演じれば大丈夫。殺しを平気でやる組織の存在と、その組織とあんたの関係なんて、誰が疑う?』
―――
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美紀 - コナン大好きです漫画とアニメと映画見るくらい大好きです更新大変だと思いますが頑張ってください応援してます (2018年11月10日 10時) (レス) id: 9b074a0665 (このIDを非表示/違反報告)
☆藤井伶菜☆(プロフ) - 高校卒業資格のところですが高橋沙羅じゃなくて高梨沙羅ですよー (2017年2月27日 6時) (レス) id: 685133b627 (このIDを非表示/違反報告)
とみ - 一瞬で気づくのすごい (2016年4月22日 11時) (レス) id: 86e9b475ac (このIDを非表示/違反報告)
PIRANIA同盟 - わぁーーーー!! マジで神小説ですっ!!!! 何度も1から読み返してます…(照/// 応援してます。 どんどん新作出してください!! (2015年10月31日 13時) (レス) id: 6a6985e085 (このIDを非表示/違反報告)
こっちゃん(プロフ) - ひとつだけ言わせてください!新一はお母さんのことを「お袋」じゃなくて「母さん」って言ってますよぉ。 (2015年5月7日 20時) (レス) id: e6681ad596 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kaka | 作成日時:2013年5月10日 15時