【名探偵コナン】もう一人の名探偵【劇場版限定】プロローグ

出会い　工藤新一篇 ページ23

『あ、そうだ。これからだけどさ、家事は私がやるよ』

Aの両親が残した財産は、まだ結構残っていた。

『私自身、お金は多少持ってるから…けどまあ、有希ちゃんが〔遠慮しないで私達のお金使って！〕とか言いそうだし。生活費は、工藤家に出してもらおうかな…』
「あぁ、そうしろよ。あの人、ぜってーそう言うからな」
『じゃあ、私が出かけたりしたときの出費は自分で出すよ。生活面は工藤家に養ってもらいましょうかね』

とりあえず金銭面はそれでいいとして。養ってもらうからには、やはり働かないとね、とAは呟く。

『どうせ学校ないから暇なんだし。家事全般、私が請け負うよ』
「そうか？まあAがそう言うなら」
『全部の家事毎日、っていうのはさすがにしんどいかな…一週間で家事振り分けよっか』

家事は結構体力を浪費する。

掃除、洗濯、買い物、食事作り…食事作りは毎日しなければならないが、掃除や買い物は毎日でなくとも大丈夫だろう。

そのあたりを踏まえた上で、一週間の家事振り分けを検討することになった。

『毎日買い物やんなくても、一週間に一回行って多めに買えば十分いけると思うよ』
「じゃあ水曜に買いにいくか？学校は水曜だけ、ちょっと早めに終わるから、俺も一緒にいけるし」
『一週間分ともなると、私ひとりじゃ辛いしねー…うん、わかった。ちょうど明日水曜だし、今日はありあわせでやるから』
「決まりだな。俺の学校が終わる頃に、高校まで来てくれ。スーパー高校から近いし」
『ん、了解。掃除も一週間に一回でいいよねー』
「水曜に買い物なら、別の曜日でやればいいんじゃねーか」
『うん。あ、でも土日は空けとこ』
「なんでだ？」

きょとん、としている新一にAは素面でさらっと答えた。結果、新一は自ら崖へ飛び込んだようなものと言えるのだが。なぜなら…。

『新一、土日は学校休みでしょ？だったら、家事とかやるより新一と一緒にいたいかなー、なんて』
「…っ///」
『…新一？どうかした？』
「い、や…なんでもねぇ…//」

顔を手で覆い尽くし、反則だっつの、と小さくぼやいた新一。

あやふやで、自身が信じられなかったその気持ちを、彼は理解しつつあった。

―――
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