８＊羅生門 ページ11
杉本さんを指さした乱歩さんは、彼に拳銃を渡すように言った。当然、探偵とは言え一般人に拳銃を渡せば減俸どころでは無いから、杉本さんは慌てて拒否した。
｢その銃を調べて何も出なければ、僕は口先だけの阿呆ってことになる｣
｢……ふん、貴様の舌先三寸はもう沢山だ。
杉本、見せてやれ｣
｢…｣
｢おい、どうした｣
｢彼は考えている最中だよ。
──減った三発分の銃弾についてどう言い訳するかをね｣
乱歩さんが言った。杉本さんはゆっくりと拳銃へ手を伸ばす。
待て、思い出せ、この後彼は何をしたんだった？
確か…抜いたその拳銃を…！
カチリ。そんな音がした。背後で太宰さんがポツリと呟いた。
｢拙い｣
その拳銃は、乱歩さんの手に渡ることはなかった。代わりに、彼に渡されたのは、銃口の矛先。
やばい！待て、ここで敦くんが背中を押されて彼を組み敷くはずだ！でも！彼の代わりにいるのは私！敦くんはいない！
このままだと、乱歩さんが撃たれてしまう。
杉本さんが…重ねなくていい罪を重ねてしまう！
｢……──ダメ！！｣
銃口と乱歩さんの間に入った。私では組み敷くことは出来ない。
それならせめて私が撃たれれば…！
私の咄嗟の行動に、杉本さんは驚いたのかそのまま銃口を私に向け、
バンッ
撃ってしまった。どこに当たるかは分からない。それでも必ず私のどこかに当たるだろう。
死んじゃうのかなあ。二回目だなあ。
いや、死にかけたことを含めれば三回目かな。
…嫌だなぁ。お父さんに言われたこと、まだ何も出来てないのに。
目を瞑った。お父さんが走馬灯の様に頭に浮かぶ。それと同時に、幼い頃…
黒い、なにかが、全てをくらい尽くすような、そんな。
｢………らしょう、もん、｣
多分それはきっと、
｢ッ？！｣
｢な…何故彼女が…？！｣
｢なんだ…？！服が…獣に…？！｣
───『芥川龍之介』の、『羅生門』だ。
私の服が、まるで獣のような形を成して、撃たれた弾を
そう、まるで本当に、『芥川龍之介』の『羅生門』の様に。
そのまま杉本さんの手をはたき、拳銃を叩き落とした。しゅるりとそれは彼に絡みつき、軽く締め上げる。杉本さんの小さな悲鳴で、我に返った。
｢え…あ、え？なに、いまの、え？｣
気が付けば、その獣は消えていた。
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三斗(トリップ願望者)シグマ君は私の精神安定剤 - ええええええ！何でこんな此れから良い所☆みたいなとこで更新停止になるかなああああああああああ‼‼‼作者さん！Come buck‼‼‼‼‼ (2022年7月24日 12時) (
レス) @page22 id: 1595fb6da3 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ - すごく面白いです！更新待っています (2021年8月5日 13時) (レス) id: bd6a8b3525 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ。(プロフ) - はじめまして！読ませて頂きました！！めちゃくちゃ面白いです！主人公ちゃんチート過ぎますね笑 好きです！これからも更新頑張って下さいっ！！楽しみにしています！！ (2019年9月1日 15時) (レス) id: fb79d568bf (このIDを非表示/違反報告)
ライ(プロフ) - 面白いっ！素敵な作品をありがとうございます。これからも更新頑張って下さい！応援しています。 (2019年8月21日 16時) (レス) id: 2ac506ad59 (このIDを非表示/違反報告)
斑杏(プロフ) - 音奏さん» す、素晴らしいですか！ありがとうございます…！更新頑張ります！コメントありがとうございました！ (2019年5月4日 22時) (レス) id: 757faf627b (このIDを非表示/違反報告)
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