〜誰がために〜 (×in)

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「…何、言ってるの、薮…」

絞り出すようにして声を出した伊野尾。



俺は掴んだ腕をそのまま引き上げて、伊野尾をソファーから立たせた。

そして、鼻が当たるほど顔を近づけて、言った。


「今でも、俺が好きだろ？」







それは、願いだったのか。

それとも、確信だったのか。







伊野尾が、あの、表情になる。


きっと、俺だけが知ってる。

伊野尾の泣く直前の顔。





すぐ横にいるゆうとが何か言いかける。

俺はそれを待たずに「行くぞ」と声を被せる。





…俺は、間違っているのかもしれない。

俺は、誰も幸せにならない選択をしたのかもしれない。

伊野尾は目を見開いたまま。
今にも零れそうな涙が必死で下瞼に張り付いている。

でも、

もう、

溢れた想いの行き先が他に見つけられない。








「待てよ！」



伊野尾の腕を捕んだまま、楽屋を出ていこうとした俺を止めたのは、

雄也でも、ゆうとでもなく、





光だった。








「薮も、雄也も、落ち着けよ」

光の声は、意外なほど冷静で。

「とりあえずさ、こんな、色んな人が出入りするとこで話す話じゃないだろ」




「皆、心配させてごめん」

伊野尾が顔をあげた。


…もう、いつもの伊野尾。

「ビックリさせてごめんね。…うん、ちゃんと話し合うから」


伊野尾が掴んだ腕と反対の手で、そっと俺の指をほどいた。


「きちんと、するから」



俺を見て、


雄也を見て、


ゆうとを見て、


「でも、今日は勘弁して」と言った。


「色々…うん、色々なこと、考えたいから」

少し俯きながら、ゆっくりと言葉を繋げていく伊野尾。


「少し、待ってほしい」









・









めめめです。

こんな拙い文章を多くの皆様に読んでいただいて、感謝感激です…。

まさかの５０話となりました。

まさかの移行。

びっくりです。


収拾がつくのかどうか不安ではありますが、何とかお話にピリオドをつけられるように努力します。



でもなー…


私みんな好きだからなーー。

誰かの一人勝ちは他の人泣いちゃうしなー…


うーん…


というわけで伊野尾くんに言ってもらいましたー！

少し待って欲しい、でーす笑笑

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