-緑色のターン ページ18
.
阿部「Aさんにとって丁度良い距離って、どれくらいなの？」
『丁度良い距離・・・』
阿部さんからの質問を受けて、SnowManメンバーとの距離感について改めて考えてみる。
今与えられている仕事が終われば、もうこんなふうに話せる距離で彼らと会うことはないのだろう。
以前のように、画面越しに、一方的に、私が見つめるというスタイルに戻るだけだ。
それはファンとしては当たり前の距離なのだが、以前と同じ日常に戻ることに、寂しさを感じた。
頭の理解と心の隙間が比例せず、阿部さんに答えを返せない。
今までずっとモヤモヤし続けていて分からないままなのだから、このタイミングで晴れるということは難しいだろう。
『やっぱり、今直ぐには分からないです』
阿部「そっか」
そう一言だけを返してきた阿部さんを見ると、答えが出せずモヤモヤとした気持ちの所為で表情を暗くする私に対して、阿部さんは優しい視線を送ってきていた。
そして、その目に私は困惑した。
SnowManは9人9色、それぞれに違った個性やギャップがあるとはいえ、彼らに会う前に私が抱いていたイメージと実際に会って感じた雰囲気とで1番掛け離れていた人物は阿部さんだった。
阿部さんへの私の勝手なイメージは "優しい人" というもの。
もちろん、他にも "頭が良い" だとか "おっちょこちょい" だとかもあるが、何より "優しい" というイメージが強かった。
いや、実際も確かに優しかった。
優しかったのだが、時折私に向けられる鋭い眼光や言葉はそんな阿部さんのイメージを書き換えていった。
『・・・』
阿部「・・・何？ 俺の顔に何か着いてる？」
現場にはメイクさんが付いているのだからそれはないが、撮影の準備が整い、撮影が始まっても探るようにチラチラと視線を向けてくる私に、阿部さんは痺れを切らしたようにそう聞いてきた。
『・・・目が、』
阿部「何その急なボケ！？」
『え？ あ、いや、ボケじゃなくて、その、目が、違うなって、思って』
阿部「どういうこと？」
『いや、何でいうか、その、今日は優しいなって・・・』
・・・って、いつもが怖いみたいじゃん！？
『ｯいや、いつもも優しいですけど、その、』
慌てて失言を訂正しようと言葉を選んでいると、「あー、うん」と、阿部さんも何かを考える様子を見せてから「ごめん」と謝罪を口にした。
阿部「意図とか展開とか探ってたからさ〜」
『それって、やっぱりドッキリだって気づいてましたか？』
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2377人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kynktk(プロフ) - 更新が再開されたようで嬉しいです！プロデューサーがなにを考えているのか全くわからなくて今後の展開が楽しみすぎます！ (4月18日 10時) (
レス) id: e1f85d9146 (このIDを非表示/違反報告)
mizuiro(プロフ) - 紅一点ものは色々読んできましたけど、ドッキリの形で紅一点が入るお話って初めてなのですごく新鮮です！めちゃくちゃ面白くて展開にハラハラドキドキするのでこのまま続いてほしいです！！ (2022年9月6日 19時) (レス) id: c168ba2284 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 田所さんが事務的過ぎるところが好きです(笑) 完結させる。って言葉が聞けたのが嬉しい、、のんびりお待ちしてます♪ (2021年7月25日 14時) (レス) id: 978894b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - ネタバラシで終わらない？！とびっくりしてます！今後の展開も楽しみです！仲良くなれるのかなー^ ^ (2021年7月17日 9時) (レス) id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
あやのぱんだ(プロフ) - ちなこさん» えっと、多分まだ終わりません。4に移行したばかりですが、5に移行するんじゃないかと思ってます。こちらこそ、ありがとうございます！ (2021年7月10日 18時) (レス) id: e4dad61570 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやのぱんだ | 作成日時：2021年7月7日 20時
