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falling -PAST-(side A) ページ6

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「ちゃこちゃん、それ違う」

「え、うそ、」


小学生のうちは、身体が大きくなっていっただけで、だいたい毎日をおんなじように過ごした。


中学になったら、オレが部活に入ったり、千夜子に女の子の友達が増えたりして、だいぶ、3人で居る時間が減った。


たまに、海や道路で大ちゃんを見かけて、傍に行って話したり、おかしな虫を見て笑ったりした。


「女の子は こっちが上なんじゃないの?」

「そうだっけ、あたしそうゆうの分かんない」

「んん……こう、な気がする」

「ふふ、(笑)ありがと」


大ちゃんは、『ちやこ』と難なく言えるようになっても、小さな頃と変わらず、ちゃこちゃん、と舌足らずに呼んだ。


千夜子は、長くなった髪をふわりと翻して、そのたびに嬉しそうに微笑んだ。


中学生になってから、千夜子の大ちゃんへの気持ちは、どんどんはっきりと形をつくり、大きくなっていった。


「あ……」


オレには、大ちゃんと千夜子以外の友達ができて

千夜子には、オレと大ちゃん以外の友達ができたけど


大ちゃんだけは、相変わらず、空ばかり見ていた。


「ん?どうしたの?」

「降ってくる」


千夜子は、たまに薄くリップを塗ったり、くるくると髪を巻いたり、友達とうわさ話をしたりするようになったけど


相変わらず、大ちゃんの視線の先のものを、見たがった。



「えっ、ちょっと…大ちゃん傘、かさ…」



大ちゃんが、浮世離れしていけばいくほど

そしてその姿が、綺麗で美しくあればあるほど…


「あぁ……そっか……」


千夜子は、その感性の鋭さに、息を飲み、悔しがった。



千夜子がどんなに、大ちゃんと視線を合わせても

どんなに寄り添おうとしても(例えば花びらを口に入れたり、雨を浴びたりしてみても)

大ちゃんはちっとも、千夜子のほうを向かなかった。



「大ちゃん待って、」



いつも、まって、と手を伸ばし、追いかけて

それでも届かなくて、ぎりりと奥歯を噛みしめた千夜子は



決まってその夜、長くて柔らかな髪を

丁寧に丁寧に、ブラシで梳かした。



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きんにく(プロフ) - あっちゃんさん» →もしかしたら誰かの気を悪くしてしまうかもしれなかったお話ですが、こんなふうに温かいコメントを、時間が経っても頂けることを本当に有り難く思います。なんだか下手な解説みたいになっちゃいました。読み返してみると恥ずかしい所だらけなんですけどね(笑)あはは (2021年5月6日 18時) (レス) id: bf5ab865ef (このIDを非表示/違反報告)
きんにく(プロフ) - あっちゃんさん» ガバっと素直に詰め込んでみたお話です。こんなふうに生きてゆけたならそれはそれは眩しいのではないか、とゆう想像の羅列です。完璧に無邪気であることの尊さに憧れながら、そうはいかないことへの失望までを、人生のうちに一度は文章にしてみたいなあと思っていました (2021年5月6日 18時) (レス) id: bf5ab865ef (このIDを非表示/違反報告)
きんにく(プロフ) - あっちゃんさん» あっちゃんさんお久しぶりです!読み返して頂いて本当にありがとうございます。ピアニッシモにコメント!?とめちゃくちゃビビりましたが、あまりにも温かい言葉に私のほうが泣きそうになりました(笑)とても嬉しいです。ピアニッシモは、私の憧れみたいなものを、→ (2021年5月6日 18時) (レス) id: bf5ab865ef (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん(プロフ) - →思うように過ごせていることを切に、願いたいものもです。回りの雑音なんて気にしない生活を送らせてあげたい。とそんなことを思いながら。長々と失礼しました。これからも素敵なお話をお待ちしてます。いつもありがとうございます。 (2021年4月29日 14時) (レス) id: 178db8b66c (このIDを非表示/違反報告)
あっちゃん(プロフ) - →最後の章は。もう涙が止まらなくて。小説を読んでこんなに泣いたことなかったなあ。…これを書いていても涙してます(´;ω;`) 。そんなお話を書けるきんにくさんが素敵!現世の彼が。同じようなことにならなくてほんとによかったと思うと共に休止中の今を自分の→ (2021年4月29日 14時) (レス) id: 178db8b66c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きんにく | 作成日時:2020年6月7日 0時

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