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( Daisuke side )
仕事終わりに乗った電車が緊急停止した。
まあ、すぐに動くだろう、と
このあと特に急ぎの用事はなくて、ただ運が悪いなぁ、と思ったくらいで、焦ることはなく。
人が混乱してザワザワしている声をイヤホンで遮断して、アニメの動画を見ていた。
だけど、15分ほど経っても動かない電車。
少し顔を上げると、イライラした表情の人ばかり目に入って、慌てて目線を下げる。
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______ うっ、ぎゃーーっ、うわああっ、ぎゃー
「 ………？」
どこからか、イヤホンしてても聞こえるくらいの泣き声が聞こえる。
赤ちゃんにしては声が低い。子供でもなさそう。
音のする方へ目を向けると、俺より背の高い男の子が泣き叫びながら、手すりにガンガン頭をぶつけている。
リュックについてるあの赤いの、見たことある。たしかヘルプマーク、っていうやつ。
ってことはあの子は何か手助けが必要な人なんだよね？
" うるせぇんだよ！！！"
" 静かにしろよ！"
それが分からない大人たちが、
彼に心無い言葉をかける。
助け方が分からない人たちが無理矢理止めようとして手を出せば、
泣き声のボリュームはさらに大きくなっていく。
「 すみません、っ 」
居ても立っても居られなくなって、
人混みをかき分けて、その輪の中に入った。
「 …？！」
ヘルプマークの裏に書かれた連絡先に電話をかけると、出たのはまさかの同級生。
驚く隙も与えずに伝えられる対処法についていくので精一杯。
…… でもすごいね、ものの数分で泣き声が止んで、自傷行為も止まったから。
" パニックが落ち着いたら、状況を説明してあげてほしい "
" きっと最寄りまで乗っていくと思うから、見守ってあげてほしい "
電車は動き出したけれど、阿部ちゃんの言う通り、
側にしゃがんで弟くんを見守ることにした。
ひくっ、ひくっ、としゃくりあげている背中も、
涙でびしょびしょのお顔も、
触れてなおしてあげたいけれど、そこは我慢。
すこし距離をとって、顔を覗き込む。
「 康二くん、こんにちは。僕は、亮平くんの友達の、佐久間です。」
「 …… っ、ひくっ、……りょー、」
「 そう、亮平 」
「 いまは、電車が30分遅れています。駅に着くのは、19時です。駅で亮平くんを待ちます。待てますか？」
「 …… 待てますか、？」
…… ちょっと難しかったかなぁ？( 笑 )
.
終わり
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作者名：梛 | 作成日時：2021年3月11日 20時
