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挨拶 ページ31

照星さんは暫く世間話(とは名ばかりの、互いの動きの探り合い)をしたのち、さらに上流に登って行った。

「…私も、帰ろう。」
月明かりを浴びて少し前向きになった気持ちを胸に、私は城へと足を向けた。

日が明けたら、私は取り急ぎ小頭の所へ向かった。
夜に照星さんが偵察をしていた事を念の為伝え、次は足早な尊奈門の部屋に向かった。
そこには尊奈門と彼の父がいた。
「荷物は纏めてくれた?」
「おう…悪いな、折角の休みなのに。」
「いいんだよ…2人とも暫く休めないし、私も丁度会いたかったから。」
「よろしく伝えておいてくれ。」
「うん。君の活躍をちゃんと伝えておくよ。」
尊奈門が差し出した背負子には、薪や野菜、布などが積まれている。
私はそれを背負い、2人に挨拶をして、今度はきちんと門から城を出た。

城下町に降り、その外れまで歩き、とある家の戸口に立つ。
「こんにちは。Aです。」
「はぁい。」
そう言って出てきたのは、丸目が特徴の優しそうな女性だ。
「A!ほら!遠慮せず上がって!」
どうも、と会釈をして戸を潜る。
「ありがとう…これ、尊奈門から。」
「あらー、重いのにありがとね。こんなに沢山。」
どうぞ座って、と促された所に腰を落ち着けると、茶と菓子を持ってきた彼女が机の反対側に座った。

「久しぶりね、Aちゃん。すっかり美人さんになって!」
「お母さんこそ、お元気そうで何よりです。」
そう、この人は尊奈門のお母さんだ。
そして私にとって身近にいる唯一の女性であり、私にとっても母のような存在だ。
「お陰様でね。こんな荷物も、なくても大丈夫だって言ってるのに、あの2人は心配性なんだから。」
「1人で街に残してしまっているのが申し訳なく思ってるんですよ。」
「そんなふうに思うなら、その分しっかり働いて欲しいわね。」
「尊奈門は頑張ってますよ。最近は益々弓矢と火器の扱いが向上してるとか。組頭も褒めてますよ。」
「そう…組頭がね…。あの子、あの人に褒められるとなったら目がないんだから。」
そう言う彼女は、どこか心配そうな表情をした…無理もない。息子が「彼の方になら命も捧げる」なんて言い出したら気が気ではないだろう。
「大丈夫ですよ。組頭は部下にそんな事をさせる人じゃないですから。」
「そうよね…所で、Aちゃん。『組頭』と言えば。」

あ、これ、お母さんモードが発動する時のやつだ…と私は身構える。2人…もしかしなくても…色々お母さんにバラしてるだろ…。

お母さん→←照星



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Nagisa Honda(プロフ) - まろんさん» まろんさん、コメントありがとうございます。雑渡さん…良いですよね…思い返せば、私も多分初推しの座を奪われてました笑。これからも書きたいことを書き殴っていくので、もし好みが合いそうでしたらご覧いただけると嬉しいです。 (1月13日 0時) (レス) id: f3e20353fb (このIDを非表示/違反報告)
Nagisa Honda(プロフ) - 上衣さん» 上衣さん、コメントありがとうございます。実は私も映画で一気に組頭にハマりました…はちゃめちゃに強キャラでスマートでかっこいいですよね…! そんな組頭をちゃんと表現できているかかなり不安ですが、これからも気が向いた時に更新頑張ります! (1月13日 0時) (レス) id: f3e20353fb (このIDを非表示/違反報告)
まろん - こなもんさんは私の初恋泥棒なので見ててキュンとします!途中の作者様の気持ちにめちゃ共感しました! (1月11日 2時) (レス) id: 45a7f9af8d (このIDを非表示/違反報告)
上衣(プロフ) - 途中、作者様のお気持ち「雑渡さんのこう言う一面見てみたい」VS「雑多さんはこんなことしない」VSダークライに笑ってしまいましたw 確かに「雑渡さんはこんなことしない!でも、こんな一面をみてみたい!」と私もなります。続きをとても楽しみにしております。 (1月10日 20時) (レス) id: 474ffd7195 (このIDを非表示/違反報告)
上衣(プロフ) - 初めまして。去年、雑渡さんの存在を知り、今回の映画で沼にハマってしまった者です。終始、心の中で「キャーキャー」(赤面)しながら読ませていただきました。続く (1月10日 20時) (レス) @page11 id: 474ffd7195 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Nagisa Honda | 作成日時:2025年1月9日 11時

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