そんなもん ページ3
「いや…今回のはそう言うのじゃなくてね…」
「ついているなら入って来い!」
戸の向こうから、急かす声が聞こえた。恐らく殿の世話係だろう。
「面をあげよ」
見上げる位置にいるのは、我らが城主だ
改めて、城主が私みたいな半人前の忍者に何のようだろうかと緊張した
「さて、唐突で申し訳ないのだが」
「何なりとお申し付け下さい」
「君には…雑渡と子を成してもらう…」
「…はい…?」
今なんて…?子?組頭?
私は純粋に理解ができず、助けを求める気持ちで組頭を見る…あ、顔逸らされた…
改めて言葉を整理しよう。「雑渡と」は、組頭と任務につけと言う事だ。「子を成す」と言うのは、勿論知ってはいるが、そのつまり、そういうことだ。だが、この2つがどうしても結びつかない。だって、子供を作るのは夫婦同士だけど、私達は夫婦ではなくて…
「殿」
「なんだ?」
「A…梓が、気絶しています」
眩しい。最初に思ったのはそれだった。
「お、目、醒ましました?」
「…なんだ、そんなもんか」
「何だとはなんだ。『お兄ちゃん』に失礼だろ。」
「一歳差でそんな威張らないでって…」
徐々に目が慣れてきた
なんて事ない、自室だった
「倒れたって聞いたから心配して見舞ってやってるのに、可愛くなくなったなお前。」
そんなもんの「昔は可愛かったのに」話が長々と続くのはいつものことなので、それが始まる前に言葉を挟む
「倒れた…?」
「おう。任務の告知を聞いて倒れたとか…ったくちゃんとしろよな?お前だってもう1人の忍なんだから」
任務の告知…と、思い出した
言われた内容が処理できず、そこで記憶が途絶えている
「雑渡と子を成してもらう」その言葉がまだホワホワと頭の宙に浮いている
「とりあえず待ってろ。今組頭を呼んでくるから」
「え、ま、待って!」
今組頭を呼ばれるのは、何と言うか、非常に気まずい
まずだってあれが聞き間違いじゃなかったら本当に気まずいし、聞き間違いか勘違いだったとしても何で倒れたのか説明するのが非常に気まずい…正直どちらも嫌だった
「んだよお前。今日おかしいって」
「いや、せっかくちゃんと会えたしそんなもんの話聞きたいなって思ってさ…」
全く思ってはいないが、それを聞くと彼は目を輝かせて座り直した
そして長々と「この前土井半助に果し状を送って戦いになった時に自分がいかに奴を追い詰めたか」の話をした
「ウンウンソウダネ」と相槌を打っていたら、いつのまにか夜になったため、そんなもんは去っていった

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Nagisa Honda(プロフ) - まろんさん» まろんさん、コメントありがとうございます。雑渡さん…良いですよね…思い返せば、私も多分初推しの座を奪われてました笑。これからも書きたいことを書き殴っていくので、もし好みが合いそうでしたらご覧いただけると嬉しいです。 (1月13日 0時) (レス) id: f3e20353fb (このIDを非表示/違反報告)
Nagisa Honda(プロフ) - 上衣さん» 上衣さん、コメントありがとうございます。実は私も映画で一気に組頭にハマりました…はちゃめちゃに強キャラでスマートでかっこいいですよね…! そんな組頭をちゃんと表現できているかかなり不安ですが、これからも気が向いた時に更新頑張ります! (1月13日 0時) (レス) id: f3e20353fb (このIDを非表示/違反報告)
まろん - こなもんさんは私の初恋泥棒なので見ててキュンとします!途中の作者様の気持ちにめちゃ共感しました! (1月11日 2時) (レス) id: 45a7f9af8d (このIDを非表示/違反報告)
上衣(プロフ) - 途中、作者様のお気持ち「雑渡さんのこう言う一面見てみたい」VS「雑多さんはこんなことしない」VSダークライに笑ってしまいましたw 確かに「雑渡さんはこんなことしない!でも、こんな一面をみてみたい!」と私もなります。続きをとても楽しみにしております。 (1月10日 20時) (レス) id: 474ffd7195 (このIDを非表示/違反報告)
上衣(プロフ) - 初めまして。去年、雑渡さんの存在を知り、今回の映画で沼にハマってしまった者です。終始、心の中で「キャーキャー」(赤面)しながら読ませていただきました。続く (1月10日 20時) (レス) @page11 id: 474ffd7195 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nagisa Honda | 作成日時:2025年1月9日 11時