めんどくさい ページ13
「組頭!」
何だか最近、いつにも増してうるさくない?
「どうしたんだい、尊奈門。」
「あっ、あのっ!…いや、その…」
そう言っては毎度「やっぱりいいです!」と去っていく。
元気なのは良いんだけど、こうも時間があると毎回来られるとさすがに焦ったい。しかもこの子の事だ、言いたい事は大体察しはつく。
っていうか小頭といいこの子といい、我が軍、Aへの愛情がかなり重くないか?
いや、この子がAを好きなのは最早周知の事実だけどね。
「尊奈門。」
「はい…」
「正直、君のその若さが羨ましいよ…大丈夫、君ならすぐ他の子が見つかるよ。」
まぁ僕の中では相変わらずへっぽこぴーだが、最近彼は着実に力をつけてきている。5体満足でなかなかに頭も切れる。弓矢の腕なんてなかなかのものだ。勿論「そのうちは我が軍の中枢に」と考えているし、それ相応の努力をしてくれている。
そんな実力者の彼が、今は私の目の前で涙を必死に堪えているんだから、笑えるよね。
「お、お頭…そんな…じゃあ…まさか…」
「まぁ…女の子でくらい、負けといてくれても良いんじゃない?」
じゃあね、と背を向けようとしたが、肩をしかと掴まれた。
なかなか力ついてきたんだね。
「何?」
「お頭…だって…俺…そしたら何で組頭に勝てば良いんですか…っ!」
本格的に泣いている。うわ、待って、分かってはいたけど、本当にそんなに好きなの?。こんな、城の中で?他の忍の目も憚らず泣くくらい?。正直思った以上でちょっと引く。
「だって!当たり前のように!僕の相手だと!思うじゃないですかっ!。」
結局あの後ダル絡みが始まってしまったので、書庫に連れてきた。この前君の想い人とここで、あんな事やそんな事したんだよ。正に『スリルとサスペンス』だね。
彼曰く、ずっと当たり前に彼女は自分の許嫁だと思って生きてきた、それを横から掻っ攫うなんて、という事だ。
正直、言いたい事はかなりわかる。私達としても、正直初めはそう考えていたし。
「なんで…Aなんですか…よりによって組頭と…」
「…だって、かわいいじゃん、あの子。」
「いや、知ってます。それは。周知の事実です。」
うわー、張り合ってくるね、なんか思ったよりめんどくさいかも。
「まぁでも…かくかくしかじかでさ…」
「組頭…」
「何?」
「流石に今雑炊を啜られると、泣きます…泣いて良いですか。」
めんどくさがってるのがバレたか。だって正直めんどくさいんだもん、尊奈門。

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Nagisa Honda(プロフ) - まろんさん» まろんさん、コメントありがとうございます。雑渡さん…良いですよね…思い返せば、私も多分初推しの座を奪われてました笑。これからも書きたいことを書き殴っていくので、もし好みが合いそうでしたらご覧いただけると嬉しいです。 (1月13日 0時) (レス) id: f3e20353fb (このIDを非表示/違反報告)
Nagisa Honda(プロフ) - 上衣さん» 上衣さん、コメントありがとうございます。実は私も映画で一気に組頭にハマりました…はちゃめちゃに強キャラでスマートでかっこいいですよね…! そんな組頭をちゃんと表現できているかかなり不安ですが、これからも気が向いた時に更新頑張ります! (1月13日 0時) (レス) id: f3e20353fb (このIDを非表示/違反報告)
まろん - こなもんさんは私の初恋泥棒なので見ててキュンとします!途中の作者様の気持ちにめちゃ共感しました! (1月11日 2時) (レス) id: 45a7f9af8d (このIDを非表示/違反報告)
上衣(プロフ) - 途中、作者様のお気持ち「雑渡さんのこう言う一面見てみたい」VS「雑多さんはこんなことしない」VSダークライに笑ってしまいましたw 確かに「雑渡さんはこんなことしない!でも、こんな一面をみてみたい!」と私もなります。続きをとても楽しみにしております。 (1月10日 20時) (レス) id: 474ffd7195 (このIDを非表示/違反報告)
上衣(プロフ) - 初めまして。去年、雑渡さんの存在を知り、今回の映画で沼にハマってしまった者です。終始、心の中で「キャーキャー」(赤面)しながら読ませていただきました。続く (1月10日 20時) (レス) @page11 id: 474ffd7195 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nagisa Honda | 作成日時:2025年1月9日 11時