【魔法科高校の劣等生】白百合の傍には雨が降る (ページ30)

今日:6 hit、昨日:4 hit、合計:34,425 hit

哀しき笑顔編Ⅵ ページ30

氷華｢まず最初に、貴方の憶測は当たっています。

私の妹、水無月杏都の持つ魔法は魔法演算領域からでは無く、身体そのものが持つ能力です

魔法演算領域はあくまで、その能力を増幅させたり威力を抑える為のものです

……こういうのは、貴方のクラスメイトの幹比古君に聞くのがベストだと思うのですが……信じてもらえなくても構いません。話します

……水無月杏都は【覚】の子孫に当たります｣

達也｢覚……ですか。人の心を読める怪物又は妖怪の類だと？｣

遥か昔、陰陽道が存在した時代。様々な魑魅魍魎が蔓延る中で、人の心を読み、当てる怪物がいた

怖いと思えば、【お前、今怖いと思っただろ】と言い、死ねと思えば、【お前、今死ねと思っただろ】と言い当てる

氷華｢……ええ。人の心を言い当て、心を壊し、そうして何年も生き延びた怪物。それが【覚】です

その子孫にあたる杏都は力を得る代わりに、ある代償が生じました｣

見なくてもいい心の中を読み、1人悲しむ妹(かいぶつ)は……

氷華｢……覚は永く永く生きる為に、何でもしました。そう。なんでも

人間の寿命を100年とした時に、覚は1000年生きると言われています｣

達也｢つまり代償は、人間には永過ぎる寿命であると？｣

ええ、と彼女は頷く

氷華｢人間にはあまりにも莫大すぎる寿命を削り、杏都は能力を使っています

その削れる時間が1日か半年か1年かはたまたもっと長いのか……私すらも分かりません

……ですが達也君。これだけはわかって欲しい。杏都は……私の妹は、悪用したくて心を読んでいる訳では無い。する気が無くても読んでしまうんです

……約束、してくださいね｣

コクリと彼は頷く。もとより口外する気は無かったのだから。

達也｢長引かせて申し訳ありませんでした。先輩｣

氷華｢それは大丈夫よ。私も有意義な時間を過ごせたわ

……妹が心配する前に、帰りましょうか｣

水無月氷華と司波達也

2人は互いに大切な妹を持つ、兄と姉である

ただそれだけの共通点なのにも関わらず。約束の元で2人は思いを秘める

そしてその翌日。入学して最初の事件が起こった