003・名もない華 ページ5
不意に目が覚めた。
半覚醒状態の中、真っ先に視界に飛び込んできたのは琥珀色の瞳。
何故かはよく分からないけれど、懐かしくてたまらない。
ぼんやりと眺めていると、引き込まれそうな琥珀色の瞳にどうしても触れたい。
そんな感情が湧き上がり心の赴くままに手が伸びた。
「ボクの顔に何か付いてる？」
突然投げ込まれた言葉に、はっと大きく目を見張る。
顔を上げたまま、私の体は指一本動かすことが出来ず固まった。
「あっ‥‥」
どうしても触れたいという衝動が消え失せ。
動揺しながらもなんでもない、と言葉を紡ぎ行き場を無くした手を引っ込めた。
心臓がばくばくと脈を打つ。
私は会ったばかりの少年に何をしようとしたのか。
自分が行おうとした行動に内心言い知れぬ羞恥の情に駆られる。
自問自答をしていると大きな手が優しく私の顔を包み込む。
「うん。よく眠れたみたいだから、だいぶ顔色も良くなった。それに、」
赤い髪が私の額に掛かったと思った時にはすでに、彼の額が私の額にくっつけられていた。
目を瞬いて息を詰め全身が棒のように強直する。
「熱はないな」
青年の琥珀色の瞳に私の瞳が映り込んでるのがはっきりと分かるぐらい顔が近い。
心臓がどんどん膨らんで肋骨を突き破るんじゃないか。
と思うほど心臓は跳ねまくる。
鼓動の速さが肌を通して彼に伝わってしまいそう。
で、怖かった。
「そうだ」と青年が心なしに呟き頬から手を離す。
安堵のため息をつきながら肩の力を抜くと少し距離を取る。
次同じことされたら心臓がもたない。
「ボクが君に名付けるてあげるよ！」
「えっ、私の名前‥？どうして？」
「これから何かしら名前が無いと色々と不便だろ」
私が目を丸くする一方で青年は顎に手を当てて考え込む。
長い時の流れを思わせてる琥珀色の瞳がゆらめき、何かを見定めるように私を見つめる。
やがて、おもむろに口を開いた。
「Aってのはどうかな？君にピッタリな名だと思う」
「A‥」
自分に言い聞かせるように私は彼の言った言葉を復唱してみせる。
「う‥うん！いいと思う！！」
表情を崩し笑顔を見せると、気に入ってもらえて良かった、と言わんばかりに青年は笑う。
A。
まるで本当の名のようで、自分にしっくりしていると思う。
青年の気遣いが純粋に嬉しかった。
彼の温もりが記憶を失って空っぽになったAの心に染み込む。
「ありがとう」
ラッキーカラー
あずきいろ
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カラス - ヒソカたまらん、、更新楽しみです待ってますー (2021年9月3日 4時) (
レス) id: 2cdebcf1aa (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - めっっちゃ萌えます‥！！ヒソカの変態っぷりも良いですし出会い方やストーリーがめっちゃ好きです‥！！(*≧∀≦*)ぜひ更新よろしくお願いします！m(_ _)m (2019年8月13日 0時) (レス) id: cdff23c672 (このIDを非表示/違反報告)
ユキナ(プロフ) - フェイタン天使さん» ありがとうございます！！やる気が出て更新しました、笑 良かったら引き続き読んでください！よろしくお願いします(_ _) (2017年9月6日 3時) (レス) id: 427ac8eeed (このIDを非表示/違反報告)
フェイタン天使(プロフ) - ヒソカあああああああああああ！！！優しい少年の方も萌えたけど、今の変態ヒソカの方も十分に萌えます！！更新待ってますw (2017年9月5日 22時) (レス) id: 36a76390b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：樹枝六花 | 作成日時：2017年8月24日 23時
