*232話「過去編〜災厄のレモネード〜」漆原side ページ10
ニヤリと不敵に笑ったこの子は本当に危ない子だと思った。
叩かれた頬がじんじんと熱を帯びている。
そして、頭の中では警報が鳴り響く。
「ちょ、ちょっと待てよ。まさか今からやるのか!?
うちらはともかくAさんは体調が悪いんだぞ!!」
「無理させたら喘息の発作が起きて命の危険もある。
そんな中、試合なんて無理でしょ……」
心配そうにこちら、Aを見る後輩二人。
ちらりと横目でAを見るもどんな顔をしているのか
よく見えなかった。
「またAさんかよ。きもっ」
まるでゴミをみるような目でこちらを見下す彼女。
「でもっ」
「ごちゃごちゃうるさいなぁ、いいからやんのよ」
こちらの意見はまるで無視され、
何が何でも試合をさせようとする彼女たちに体が震える。
それが恐れなのか、怒りなのか、
どの感情なのかわからないくらい混乱していた。
「わかった」
「結良!?」
私達を庇うように前に立った結良。
発せられた言葉に余計混乱する。
だが……。
「ただし、Aはダメだ。それで了承しろ」
ぎゅっと握りしめた拳がプルプルと震えてる。
短気な結良が怒りを必死に我慢している様子に
泣きそうになる。
だが、無情にも早乙女はそれすらもけった。
「それも面白いけどダメよ」
「なっ!?」
「私はこんな女はこんなに惨めで弱いっていうのを
証明してあげたいのよ」
侮蔑の色をにじませた瞳でAをせせら笑う彼女。
話しにならないっ。
どうすることもできず、
私は早乙女の後ろに縮こまるようにして立っている先生に助けを求めた。
「先生からもなにか言って下さい!」
流石の早乙女も教師の言葉には反論できない筈。
そう思っていた。なのに……。
「そ、そうだね。ここは彼女の言うとおりにしなさい」
「え……」
「こっちも困ってたんだよ。宇佐美先生は勝手なことばかりするからねぇ。
二年前の事件も我が校のイメージを下げる原因となった。
だから、責任を取るべきだよ君たちは」
告げられた言葉に茫然とする。
もはや、味方なんていなかった。
先生たちは早乙女財閥の力を恐れ、
誰も止めてくれない。
後にいる女子生徒のほとんどは練習についていけず
兼ねてから不満を抱えていた子たち。
「さぁ、立ちなさい」
もはや、逃げ場なんてない。
私達に残された選択肢は一つ。
“試合をする”ことだけだった……。
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星蛍(プロフ) - ゆっぴぃさん» ありがとうございます!来年1月からハイキューが始まると聞いて最近更新を頑張っている次第です笑 パスワードにつきましてはこちらのミスです。すみません!!今日中に解除します!! (2019年11月19日 11時) (レス) id: b5b09ffd1d (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 猪絢さん» ありがとうございます!パスワードは解除したつもりでした。すみません!!今日中に解除しておきます!! (2019年11月19日 11時) (レス) id: b5b09ffd1d (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴぃ(プロフ) - 凄い面白くて毎回更新楽しみにしています。7章はパスかかってるので見れないのが悲しいです。近々見れるようになりますか?早く続き読みたいです。 (2019年11月19日 10時) (レス) id: 3c7526cd22 (このIDを非表示/違反報告)
猪絢(プロフ) - 面白くて読み込んじゃいました!7章パスワードかかってた見れないのですがまだ書き途中だったりするのでしょうか…? (2019年11月19日 1時) (レス) id: 262406d3d0 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 杏樹さん» それは良かったです!ありがとうございます(^-^) (2019年11月18日 22時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星蛍 x他1人 | 作成日時:2016年1月8日 20時