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*253話「それだけは、できないっ」 ページ31

一瞬、理解が追い付かなかった……。


何を言っているんだろう。
何を言ったのだろう……。


__「“今すぐバレー部を辞めて”」


ゆっくりと咀嚼した言葉に、体が震える。

怒り? 恐怖? 屈辱?

感情がごちゃ混ぜになる。
思考がうまくまとまらない。


自分が息をして、ちゃんとまっすぐ立っているかもわからなくなったとき、


「ふざけんなっ!!」

「……ゆ、ら」


私を背に守るように出てきた結良。

そこでやっと魂が体に戻ってきた。
そして、焦点を早乙女に戻す。

彼女は冷たい笑みを浮かべていた。


「してくれるよね? もちろ」

「するわけねえだろっ」

「ざっけんなっ!!」

「夕、田中……」


背後から聞こえた声に振り向けば、今にも飛びかからんばかりの二人がいた。

いや、2人だけじゃなく烏野全員がいた。
こちら、というより早乙女を威嚇するように固い顔をしているみんな。

すると、その間を縫って叶羽もやってきた。


「なっんで、Aがっ、そんなことしなきゃ、いけないのっ」


かなり全力で走ったのか、息を乱しながら言葉を紡ぐ。

それをチラリと横目で見た早乙女は、
明らかに馬鹿にしたように鼻で笑った。


目障り(・・・)だから」

「なっ」

「逆にそれ以外に理由ないでしょ」


さも当たり前のように発せられた言葉にみんなが唖然とする。


「で、してくれるでしょ?」

「……」


あまりの言葉に周りが何も言えなくなる中、
殺さんばかりにこちらに笑いかける彼女。



ああ、嫌だ。

どろりとしたものが足元からまとわりついてくる。



でも、頭に浮かんでくるみんなの顔。

笑った顔。怒った顔。泣いた顔。真剣な顔。優しい顔。

冷たい黒沼にそっと熱をくれた……みんな。



不敵に笑う彼女に自然と拳を握った。


「それだけは、できないっ」


それだけは……。

*254話「もう、、、」→←*252話「蔑み」



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星蛍(プロフ) - ゆっぴぃさん» ありがとうございます!来年1月からハイキューが始まると聞いて最近更新を頑張っている次第です笑 パスワードにつきましてはこちらのミスです。すみません!!今日中に解除します!! (2019年11月19日 11時) (レス) id: b5b09ffd1d (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 猪絢さん» ありがとうございます!パスワードは解除したつもりでした。すみません!!今日中に解除しておきます!! (2019年11月19日 11時) (レス) id: b5b09ffd1d (このIDを非表示/違反報告)
ゆっぴぃ(プロフ) - 凄い面白くて毎回更新楽しみにしています。7章はパスかかってるので見れないのが悲しいです。近々見れるようになりますか?早く続き読みたいです。 (2019年11月19日 10時) (レス) id: 3c7526cd22 (このIDを非表示/違反報告)
猪絢(プロフ) - 面白くて読み込んじゃいました!7章パスワードかかってた見れないのですがまだ書き途中だったりするのでしょうか…? (2019年11月19日 1時) (レス) id: 262406d3d0 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 杏樹さん» それは良かったです!ありがとうございます(^-^) (2019年11月18日 22時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星蛍 x他1人 | 作成日時:2016年1月8日 20時

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