＊155話「いつの間にか」 ページ23
知らない土地。知らない場所。
学校の敷地内と言えど、方向音痴だと自分でも認識してるくせに、
音駒高校の中を走った。
木の幹に手をついて、
走ったからか、さっきのせいか、乱れた呼吸を落ち着かせる。
ポタポタと地面を濡らす。
「ふっ……ぅ」
汗じゃない、涙。
でも、なんで泣いているのかわからない。
怖いから？
真赭さんがいたから？
苦しいから？
違う違う違う違う違う！！
「そうじゃないっ」
そうじゃない……。
ズルズルと幹にすがるように、泣き崩れる。
手のひらに傷がついた気がした。
ちょうど膝の下にあった石が痛い。
痛い痛い痛い痛い痛い。
「もう嫌っ」
叫ぶように呟かれた言葉は風に吹かれた……。
「なら、泣くのはこっちにして？」
そのとき、一人だと思っていた場所に、
暫く話していなかった
だが、それより早く私の腕をつかみ、
「ばかだなあ、Aは」
ぽんぽんと私を落ち着かせる手が優しい。
抱きしめる腕が優しい。
「胸くらい、いくらでも貸すって」
優しい手のひら
優しいぬくもり
優しい声色
あれだけ乱れていた呼吸が落ち着く。
涙が止まる。
優しさに身を委ねるように、
高校に入ってから、いつも助けてくれた。
いつも気にかけてくれた。
いつも救ってくれた。
とくとく、と少しだけ早い心拍に
安心と安堵を覚えたのは、いつだったか……。
ありがとう、ありがとう、
いつもありがとうございます。
「孝先輩」
私だけの特別な呼び方。
そう口を開いた時にはもう胸を裂くような苦しみは消えていた……。
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星蛍(プロフ) - 麗さん» コメントがすっかり遅くなってしまい、申し訳ありません。そうですね。検討しておきます！ (2020年11月22日 14時) (
レス) id: 1ee6b4a9bd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 28ページ こっちゃん とあだ名？で呼ばれていますが、これは固定なのでしょうか？ 名前変換出来るのにあだ名だけが固定だと不自然に感じます。 固定の名字から取るなら分かるのですが変換出来る名前から取ったあだ名だと違和感あります。 (2020年11月12日 19時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - ムーンさん» すみません！！変換機能をオンにするの忘れてました。直したので、名前変換できると思います。 (2019年2月25日 17時) (レス) id: 4856ab23f3 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン(プロフ) - 名前がずっと古都となっているのですが変換はできないのですか？ (2019年2月24日 22時) (レス) id: dbcb69aa60 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 夢花 (仮垢)さん» 返信遅れてすみません！！ ほめ言葉として受けとります笑 ありがとうございます！ (2019年2月22日 18時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星蛍 | 作成日時：2015年10月14日 20時
