*146話「みっともなくてもいい」 ページ14
「取られると思ったの」
「取られるって?」
「居場所」
相変わらず、いざ話すとなると言葉が出てこない。
月島君は理解できなかったようで、言葉を探している。
静かな帰路が今は私の精神安定剤だった。
「谷地さんにね、マネージャーとしての居場所を奪われると思ったの」
「奪う……」
「被害妄想甚だしいよね。そんなわけないのに……」
谷地さんは新マネージャーとして、
潔子さんがこれからの烏野のために誘ってきた。
そして、潔子さんは私の負担を軽減させるために誘った。
それには裏なんてないし、
それ以上に深い理由なんてない。
……ないってわかってるはずなのに。
「奪われてしまうと思っちゃう」
「だから、彼女を見るたびに思うの。
そこは私の場所だって。
私の場所をとらないで……って」
みっともないよね、と言った声は囁くような小さな声だった。
あげく、震えていて情けなかった。
無意識に震えている自分を、
落ち着かせるように深呼吸を繰り返す。
「……みっともなくてもいいんじゃないですか?」
言葉を選ぶようにして、口を開いた彼に耳を傾ける。
「でも、酷いこともたくさん言った。
現にさっき月島君に酷いこと言った。
ごめんなさい」
「そうですね。傷つきました。
でも、それであなたが楽になるなら構いませんよ」
今日はやけに明るい月光が私たちを照らす。
「酷い人って思わないの?」
「別に思いませんよ。
泣きながら言われても説得力なかったし、
言ってる本人の方が辛そうだったし」
事実過ぎて何も言い返せない……。
思わず、自嘲がこぼれる。
だが、続けて言われた彼の言葉に私はまた泣いた。
「それに、みんな酷いこととか悪口とか今まで言ったことない人なんていないでしょ」
「へ?」
「そんな人いたら、気持ち悪いですよ」
きもちわるい、と彼の言葉を復唱する。
「誰だって他人にはいい面しか見せませんよ。だから、」
その後に続いた言葉を聞く前に、気づけば私は泣いていた。
___「Aさんは酷い人じゃありません」
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星蛍(プロフ) - 麗さん» コメントがすっかり遅くなってしまい、申し訳ありません。そうですね。検討しておきます! (2020年11月22日 14時) (レス) id: 1ee6b4a9bd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 28ページ こっちゃん とあだ名?で呼ばれていますが、これは固定なのでしょうか? 名前変換出来るのにあだ名だけが固定だと不自然に感じます。 固定の名字から取るなら分かるのですが変換出来る名前から取ったあだ名だと違和感あります。 (2020年11月12日 19時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - ムーンさん» すみません!!変換機能をオンにするの忘れてました。直したので、名前変換できると思います。 (2019年2月25日 17時) (レス) id: 4856ab23f3 (このIDを非表示/違反報告)
ムーン(プロフ) - 名前がずっと古都となっているのですが変換はできないのですか? (2019年2月24日 22時) (レス) id: dbcb69aa60 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 夢花 (仮垢)さん» 返信遅れてすみません!! ほめ言葉として受けとります笑 ありがとうございます! (2019年2月22日 18時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星蛍 | 作成日時:2015年10月14日 20時