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*127話「子ウサギ1羽」 ページ43

東京遠征に向けて盛り上がるみんな。


「そういえば、大和。ひと段落したのか?」

「へ?」


思い出したかのように大地さんに声をかけられ、変な声が出る。


「確かに。今の時期、生徒会の引継ぎやらで忙しいんだろ?」

「それで、最近これなかったんですか?!」

「あー……うん」


ほったらかしにしてきた書類の束を思い出し、げんなりする。


「先生が大事な話があるっていうので抜けてきました。
仕事は……終わってません」

「そ、そうか」

「お疲れ様」


死んだ目をしているであろう私に苦笑する三年生方。

そろそろ戻らないとなあと思いつつ、
戻りたくなくてその場にいると、


「Aー、いるー?」


がらりといきなり開けられたドア。

誰かと思って見れば、私より小柄でふわふわした、
子ウサギという表現がぴったしの生徒会処務様がいらしゃった。


「ミ、ミワさん」「丹羽(にわ)さんっ?!」


私の嫌そうな声と、山口君の驚いた声が被った。

え、なんで忠くん?

驚いて固まっている私を余所に、
本人はマイペースに私たちを交互に見る。


「あれぇ? 忠? A? んー?」

「えっと……山口君、ミワさんと知り合い?」

「あ、えっと、以前いろいろ……」


いろいろとは?

そう思ったのは私だけじゃないらしく、
田中と夕が問い詰めている。


二人とも酷い顔なのだろう。

涙目になっている山口君を助けようと、
一歩前に出たとき横から腕をひっぱられた。


「うっわ」

「それより、A。仕事」


どこにそんな力があるんだと聞きたくなるような力で引っ張られる。

つか、痛い!!


「ちょ、ミワさん、痛いっ」

「あ、あと、会長いない」

「なっ。またどっかいったの?!」


会長がいないという言葉を聞き、
怒りを通り越して殺意が湧いてくる。


「もう、ただでさえ忙しいのにっ」

「ねー」

「戻りながら捕まえるよ!」

「おー」


眠いのか、どうでもいいのか。

ふざけているような間延びした返事に、
大きくため息をつきながら今度は私がミワさんの腕を引っ張る。


「落ち着いたら連絡しますっ」

「お、おう」

「がんばれよー」

「はいっ」


歩く気がないのか、
ぐでっとしているミワさんを引っ張りながら体育館を出た。

*128話「入れない」→←*126話「東京遠征」



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星蛍(プロフ) - 琴音さん» あちゃー。やっぱりありましたか(汗)。すみませんが、書き方の統一を優先しているので、シリーズが完結次第、誤字修正をしていきます。教えたくださり、ありがとうございます。 (2019年4月1日 20時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
琴音(プロフ) - いっぱい間違えてますね。月バリが月バレとか月バスになってたり、聞いてきたが聞いて生きたとか、久藤が久遠だったりまだまだありますけどw (2019年3月31日 17時) (レス) id: f776e23ba8 (このIDを非表示/違反報告)
☆慧琉☆@スガさん愛しすぎてタヒぬ←w(プロフ) - 正しくはコンクリート出身、日向翔陽です。貴方をぶっ倒して全国へ行きます。だったような… (2016年7月5日 22時) (レス) id: 2223b2c821 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星蛍 | 作成日時:2015年3月22日 17時

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