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*15話「役職持ちですよ、これでも」 ページ17

エースじゃないといって去ってしまった旭さん。

なんとも微妙な空気が私たちの間を流れる。


すると、影山君が恐る恐るといった感じで聞いてきた。


「あの、怪我?とかですか?」

「いや、違うよ......」

「じゃあ......」


たぶん、見たことがないのだろう。

いつも笑顔で優しい孝先輩が暗く下を向いている姿を......。

言葉をつまらせた影山君。

孝先輩は開けっぱなしの廊下の窓に両腕を置き、
空を見上げた。


「あいつは、バレーを嫌いになったかもしれないのが問題なんだ……」

「えぇー! あんなに大きい人なのにどうして!?」


哀愁漂うその背中に
すっとんきょうな日向君の声が響く。


大きい人が必ずしも、バレーが大好きって
わけじゃないよ日向君。

私は苦笑しながら、孝先輩の言葉を代弁するように続けた。


「旭さんは、烏野で一番パワーがあって点を決
めてた」

「難しいトスでも、決めてくれた......そん
な、あいつをみんなはエースと言って慕った。
でも......」


区切られた言葉。

詰まる続きに影山君が言った。


「......潰されたんですか?」

「そう。今年の春、君たちが入学する前の春の
大会で、旭さんの攻撃を完璧に止められてしま
ったの」


それだけって思うかもしれない。
だって、誰にだってあることだもの......。

でも、


「旭さんはすごく責任を感じたんだと思う」

「いや、感じたんだ。
あいつ人一倍責任を感じるやつだからさ」


すぐさま否定された言葉。
背を向けられてもわかる。

孝先輩の手が悔しさで握られていることを......。


「......その試合以降、旭さんは練習に顔を出さなくなった」


話し終え、ふうと一つ息をはいたとき、
チャイムがなった。



そういえばと思い出したように振り替える孝先輩。


「Aはなんでいるんだ?」


孝先輩に言われ、思い出す。

当初の目的を……。


「じ、実は会長にこの資料を持ってくるよう頼まれて......」


あーと納得する孝先輩とは反対に
“会長”というワードに疑問符を浮かべる二人。

あれ、そっか。


「話してなかったっけ? 私、生徒会書記をしているの」


そう教えた瞬間、


「「えええぇぇぇ?!?!」」


という二人の驚きの声が響いた。

*16話「ローリングサンダー」→←*14話「大きくも小さい」日向side



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星蛍(プロフ) - 麗さん» そうですね!! 今、そういった誤字脱字とかを修正しているところです。読みにくいし、この人誰?!っていうのもあるかもですが、何卒ご了承ください。すみません。 (2020年11月12日 8時) (レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 44ページ  「お、俺が呼んでたのにぃ!!」 の 呼んでた は 読んでた ではないのでしょうか?話の流れ的にそうかなと思ったのですが (2020年11月11日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
☆慧琉☆@スガさん愛しすぎてタヒぬ←w(プロフ) - 誤字…ノヤっさん→ノッヤさん、潔子さん→清子さん (2016年7月5日 19時) (レス) id: 2223b2c821 (このIDを非表示/違反報告)
星蛍(プロフ) - 抹茶アイスサンドさん» よくよく考えたらどんだけ手が薄いんだって話になりますね!!ありがとうございます (2016年4月2日 11時) (レス) id: 60a59e3ad2 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶アイスサンド - 32話の厚さ約5mmではなく、約2cmだと思います。 (2016年4月2日 10時) (レス) id: 0e8f4b9561 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星蛍 | 作成日時:2014年8月5日 13時

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