カカオ72% Part 5

last wall 1 -side Ki- ページ29

ニカとAが
付き合い始めたってことは。

俺は1人になるんだろう。

例えAが出て行かないにしても
少なくとも、1人になる事が増えるんだろう。

そう思ってた。



…………が。



ある日寝苦しくて目が覚めると
俺に巻きついてるA。

これは一体どーゆう事？



「………」



明日は忙しいんだって。

Aの腕を持ち上げて退けてAから少し離れると

「………？」

一度起きたのか体を起こすAはモゾモゾ動いて
俺に近づいてまた抱きついてくる。



………ダメだこりゃ。



諦めてAを抱えると

「ふふふ……」

嬉しそうに笑ってるA。



可愛いなー、とも思うけど。




「………お前、ニカにもあぁなの？」

朝、起きた時にAに聞いてみたら

「ん？何が？」

キョトンとして俺を見てて全然ピンと来てないA。



最終的にA抱えて寝たら何だか爆睡出来たから良かったものの

「寝てる時にくっつき過ぎじゃね？ニカにもあんなにくっつくのか？」

ニカからクレーム来ねーか？あんな寝方。



「んー、ニカにはあそこまでくっつかないかな」

「……へ？」

「ニカとは並んで寝てる方が多いよ」



淡々と言うA。



それってさ

「A、ニカにちゃんと心開いてるか？」

「うん。めちゃくちゃワガママ言ってる」

Aは言うけど。



ホントか？

しかも結局ほぼ毎日俺と寝てるじゃん。
ニカに遠慮してねーの？



「あのね、にぃとニカは違うの。ニカにもちゃんと甘えてるし、うちに居る時はにぃに甘えてるでしょ？」

「………ふぅーん」

「なに？そのめっちゃ不満そうな言い方っ」

「なんかさー、そんな関係って大丈夫か？って心配になってさぁー」

「はぁー？」



不思議そうに俺を見るAは

「ニカとは全然問題ないですけどー？それに私、ホントなら1人で寝れるよ？」

って言うけど。



それなら何で寝ててあんなに抱きついて来たよ？
ってのが顔に出たっぽい。

「え、だって私1人で寝てる時あるじゃん」

Aがすかさず言う。



「……そーだけど」

「にぃの方がホントは寂しいんじゃない？私が居ないと」

「は！？そんな訳ねーし！」



別にAが居てもいなくても
数年前に戻るだけだし。



…………そう、ただそれだけだし。




思い出すのは
親の離婚でAが俺と離れる事を選んだ日の事。




「…にぃ？どした？」

「ん？………別に、何でもねーよ」



うん、そう。

別に、何でもねーよ。

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