カカオ72% Part 5

カタチ。 28 -side T- ページ11

「なぁ、タマ」

「ん？」

「Aとニカ最近どーなの？」

ミツが聞いてくるけど

「………知らないよ」

俺に聞かれても。



新曲の振り入れの合間に
ミツと2人になったタイミングで突然ミツが聞いてくるけど
ホントに知らない。

何となくニカとAちゃんの話って
前から全くしないし
何となくニカとAちゃんが両思い同士っぽくなってからは特に俺から避けた。

この前Aちゃんとマキさんを偶然見かけた時に
久しぶりに名前が出たくらい。



そういえばあの時のニカ完全にふて寝だったような。



だから答えは

「知らないけど、なんか変な感じがする」

曖昧に答えたのに

「だろー？2人、全然会ってねーの。多分誕生日から」

ミツは言う。



「え？もう3ヶ月以上経ってんじゃん」

「そーなんだよ。A全然笑わねーし、甘えがすごいの。めっちゃくっついてくる」



困った感じで言いながら顔はニヤニヤしてるから
ホントは嬉しいんだろーね。

兄バカだよ、相変わらず。



「元気ねーの。全然。あっちもそーじゃん？」



クイッ、っとニカの方を見るミツ。
視線の先には資料を見て眉間にシワを寄せてるニカが居る。

確かにカメラ回ってない時の
話しかけにくいオーラがヤバいのはある。

でもそれって前からちょこちょこあったし
うちのメンバーって程よい距離感が売りだし。



「でもまぁ2人とも大人だし、放っておくしかなくない？」

「まぁ、そうだけどさ」



心配そうにニカを見るミツは

「………そーだよな、当人同士の問題だよな」

って勝手に結論つけたのか立ち上がって

「藤ヶ谷ぁー、ユニットのやつさぁー」

ガヤのとこに行っちゃう。



そう、気にしても仕方ない。

ただ実は何となくAちゃんがずっと空元気なのは
電話だけでも伝わってる。



悶々として帰ると
Aちゃんが来てて玄関で鉢合わせ。

「おかえりなさいっ。いま終わったよ」

1つ結びしてるAちゃんは
ニカに会えてる訳でもないのに律儀に髪を伸ばしてるみたい。

ボブの方が可愛いのに。



ニカ、一体何してるんだろう？



「ねぇAちゃん、いま幸せ？」



聞くと息を飲むAちゃんが何かを返す前に
1つ結びにしてるゴムに手をかけて解く。

フワッと広がるAちゃんの髪。

ほら、こっちの方が可愛い。



「Aちゃんがしたいように、Aちゃんらしく生きた方がいいと思うよ」




Aちゃんが笑ってないと
身を引いた意味なくなっちゃうんだよ？

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