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ジンクス(すぐ近くにいる ki) その後 5 ki ページ39

「おかえりー」

帰ってきたAにキッチンから声を掛けると

「…ただいま」

恥ずかしそうなA。



「なんだよー、あれじゃ不満か？」

「恥ずかしいよ。もう絶対本社行かない」

「えー？あの後凄かったんだぞ？お祝いが後を絶たなくて」



思った以上にみんな祝福してくれたし
男の先輩達からはものすごく恨まれた。

特にAに告った先輩からは「お前だったのか！」ってヘッドロックされたし
3年目のアドバイスくれた人達からは「Aちゃんに家事ばっかさせてたのか！」って怒られた。



「そうなの？」

「しかもだいたい俺が羨ましいって言ってきてさー」

「うそだー」

「嘘じゃねーよ、二階堂も告白したあの子もAにおめでとうって伝えてくれってさ」



朝イチでテレビ電話を頼んだ二階堂には「やっとですか？」って呆れられたし
ちゃっかり自分のスマホでも撮ってて「これ奥さんに送ったらAさんに『おめでとう』って伝えてくれって言われました」って嬉しそうに笑ってくれた。



結局、Aがみんなに好かれてるのを実感した感じだ。

俺の味方いねーのかよ？
ちょっと寂しいんだけど。



「課長からも『ごめん』って伝えてくれって」

「あぁ、それは逆に私も宏光にごめんなさいだよね」

「や、俺もアレは逆の立場なら怒ったと思う」



何はともあれ誤解解けたし
俺もAも付き合ってるのが誰か明確になったから
変な声は掛からないだろーな。



「でさ、公言しちゃったし。日取りとか決めなきゃだよな」

「まずお互いの親に挨拶でしょ」

「あぁ、そか」



そーゆーのもあんのか。
ただその前に

「まずプロポーズの仕切り直しもしてーんだけど」

そこからだよな。
なのにAは

「それ、もういいよ。何度もしてくれたじゃん」

笑って言う。



「は？」

観覧車ではそれっぽいこと言ったけどそれ以外あったっけ？

「この前の観覧車でも、ゆりかもめでおじいちゃんおばあちゃんになっても手を繋いで歩こうとか、最近の宏光ちょいちょい言ってくれてるじゃん」

なんて些細な会話もカウントしてくれてる。



「でも一番刺さったのは道端で言われた『いつか今日の事をこんな事あったよね、って笑い合いたい』だなー」

「え、あれがよかった？」

「うん。喧嘩も思い出に出来るとかいいな、って後からジーンときた」



なんて言われて俺も嬉しくて。

こんなAとずっと居るために
やっぱ最高のプロポーズしよ、なんて誓った。




〜END〜

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