太陽の当たる場所 10

after Dahlia 17 side 2 ページ28

結局
恥ずかしいくらい泣いた。

子供みたいだ。
寂しいって泣くとか。



Aから貰ったティッシュで涙や顔を拭いて
メガネは涙の跡を拭くと一度ポケットにしまった。



俺の涙を見ないために背中を向けてくれてるAが
また勝手にどこかに行かないか不安になる。



「……ねぇ」

「なに？」

「取り消してくれるよね？『多分、ニカと私、ダメなんだと思う』ってやつ」



ストールで包みながらAに聞くと少し黙るAは

「私、相当めんどくさいよ？」

答える口調がどこか甘え気味で。
もはや『うん』って言ってるのと一緒。

「知ってる。でも多分俺も負けない」

俺も俺でせっかくハンカチを貸してくれようとしてる人に対して
『それ綺麗？』とか聞くよーな奴だし。



AはAで思い詰めて
1人で新潟に行っちゃうよーな子だし。

ある意味俺たちってお似合いだよ。



だから

「取り消さないなんて言わせるつもりないけどね」

Aの顔を後ろに向けてキスをした。



抵抗させないように首をホールドしたけど
むしろAが背中に腕を回してくるから。



ほら、やっぱりAも俺の事大好きじゃん。

だから俺もAを抱きしめた。



そのまま夢中になってキスをしてると

「あっ！ちゅーしてるー！」

子供の声がする。



唇を離して声のする方を見ると
幼稚園くらいの子供たち3人が俺たちを見てた。



Aが慌てて離れようとするけど

「へへへー、いいでしょーっ」

離れないように抱き締めてその子たちに笑う。



「ちょっ、ニカっ」

抵抗するAを抱き締めたまま

「大好きな人とのちゅーは最高だよ？」

ニッコリ笑ってみせた。



「えー？そうなの？」

「うん」

「へーーっ」



まじまじと俺たちを見る子供たちの前で
さっきのキスで濡れたAの唇を拭うようにチュッて音を立てて触れるだけのキスをして

「…ニカっ！？」

真っ赤になってるAの手を引いて立ち上がると

「じゃあねー！バイバーイ」

子供達に手を振った手でAの荷物を持つとAの手を引いて歩き出した。



「「「バイバーイ」」」



返してくれる子供たちが可愛いからもうちょっとお話ししたかったけど
親が近づいてきたらマズイしね。



「もう！ニカってばっ！」

子供とはいえ人前でキスしたからAが怒ってるけど

「何で？間違った事言ってないよ？」

ニッて笑ってみせた。



Aは泣きそうな顔で笑ってて。



そんなAが大好きだ。

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