太陽の当たる場所 9

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洗濯物を洗濯して
置いてた着替えをだいたいカバンに入れて
帰ろうとしたら
ニカと鉢合わせした。



「どこ行くの？」

ニカの声がもう機嫌が悪い。



「…帰る」

「え？何で？」

「…ニカが嫌そうだから」

「は？意味分かんないんだけど」


北山さんのマネージャーにも女優さんにも
ものすごくニコニコ話してるのに
私には喧嘩口調。

ニカのものすごく冷たい言い方に
もう限界だった。



「ほら、その言い方。何でそんなに怒ってるの？」

「…別に怒ってないよ」



間を開けて言うし怒ってないって言いながら
こっち向かないし笑ってもない。



「怒ってるじゃん」

「怒ってないよ」

「怒ってる」

「怒ってない」



もはや子供の言い合いみたいな私たちの言い方。

だけど私も多分ニカも引くつもりはないのは
何となくわかる。



「何なの？帰って来なかったのはそっちでしょ？何でそんな不機嫌なわけ？」

ニカが怒るけど

「不機嫌なのはニカじゃん。北山さんのマネージャーにも女優さんにもニコニコ話すのに私にはそんなムスッとしてさ！」

私より相当ニカの方が不機嫌だよ。
なんなの？



「別に不機嫌じゃないよ。Aこそ楽しかったでしょ？絶叫マシン乗って、美味しいもの食べて、泊まってきてさ。俺とじゃ出来ないもんね」



ニカがものすごく強い口調で言うけど。

全く意味が分からなかった。



……ニカは何に怒ってるわけ？



「……どういう意味？」

聞き返すと

「俺とは遊園地にも外にご飯も行けないじゃん。楽しかったから遅くなったんでしょ？」

ニカはニコリともせず言う。



確かに楽しかった。
祐介君も充君も、幼なじみだしゆっくり会うのは久しぶりだし。



でもそれは
ただ久しぶりだったし幼なじみだったからで
別に祐介君たちと遊園地行けたから楽しかったとか
外で食べたご飯が美味しかったからではないのに。



「…ニカだって、私と話すより北山さんのマネージャーや女優さんと話す方が楽しいでしょ？」

ニカ笑ってるじゃん。
私には怒ってばっかなのに。

「……」

ニカはびっくりして私を見た後で
少し呆れた顔をして言う。



「もしかしてA、妬いてるの？」



ニカに言われて
プツリと何かが切れた気がした。



……そうだよ、妬いてるよ。

だから言った。



「妬いてるよ。めちゃくちゃ妬いてる」



自分の声が低くて、
泣くのを堪えてるから声が震えちゃう。



ニカがびっくりして私を見てる。

けどもう止まらない。

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