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「それじゃ!また週末ねー!」

ニカがマスクとサングラスをして
立ち上がる。

「うん」

手を振る。



ニカは部屋を出る時にはもうよそ行きの顔になって
コチラを見ずにパタン、と襖を閉めた。



1人になる。

ホッとしてテーブルに突っ伏した。



…良かった、誤魔化せた。

今はまだニカに『最近の出来事』を
うまく説明できそうにない。



しかも
せっかくニカに会えたのに泊まれないし
ニカから一度うちに帰って仕事の支度してうちに来てよ、って言われなかったのも寂しかった。

でも何となく今の私からは言い出せない。



今後私はどうしたいのかな。

オーナーの下でずっと働けたらいいのに。
それじゃダメなのかな。



途方に暮れてると

「Aちゃん」

ふすまの外から叔母さんが声をかけてくる。

「はーい」

返事をするとふすまが開いて

「ね、合コン行かない?」

いつものように叔母さんに聞かれて
今までなら『行かない』って即答してたのに
何だか間が空いちゃった。



この時ようやく
ニカが疲れてる時にあの顔をされちゃった事が
私の中でかなり応えたんだ、って改めて気づいた。



遠い将来
ニカが疲れた時にあの顔をさせる私の存在って
必要ないんじゃないのかな。



だとしても

「行か、ない」

ニカ以外に好きになる人なんていないよ。



叔母さんは私の変化に気づいたから

「…どうかしたの?」

いつもみたいにからかわないで聞いてくるけど

「ううん、今後の仕事の事考えてただけ」

答えて私もそろそろ帰ろう、って思ってお皿を重ねて帰る準備を始める。



「あら?転職するの?」

「んー、まだ分からない」



バイクをいじる仕事は大好きだ。

昔はレーシングチームのサポーターみたいな華やかな仕事をしたかったけど
いまオーナーの元でお店お客様のバイクの修理に携わるようになってからは
バイクを修理してお客様に納品した時に見せてくれる嬉しそうな顔を見るのが私の幸せだなって思うようになった。



本当は、将来なりたいものがある。

だけど絶対に口に出せない。



とくにニカには。



ニカはいつか「そうなれる」時が来たら
相手は私がいいってその時は言ってくれた。

それは今も変わらないのかな。

「なりたいもの」を私から口にしたら
今のニカには叶えられから私とニカの関係は終わるだろう。



「それ」を私から口にしてニカのあのおひさまみたいな笑顔が目の前で凍てついたら
きっと私は正気じゃ居られない。

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shizu(プロフ) - junkoさん» コメントありがとうございます!一文字一文字読まれると誤字脱字が酷いのがバレて心配ですが(笑)見つけ次第治してますが見つけたらまたやったな、って思っていただけたら幸いです。また読みに来てください! (2021年4月21日 7時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - れなさん» コメントありがとうございます!ニカにはこんな子がそばにいてほいしな、と思って書きました。ありがとうございます! (2021年4月21日 7時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
junko(プロフ) - このお話大好きです。更新されるたびに大切に一文字一文字ゆっくり読んでます。これからも楽しみにしてます^_^ (2021年4月20日 1時) (レス) id: 74230b5629 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 更新ありがとうございます!素敵すぎて電車で泣いちゃいそうでした。 (2021年4月19日 9時) (レス) id: 0a653a5e8d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年3月27日 14時

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