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シロツメクサ Ki 21 ページ44

それから。

北山さんは休みじゃなくても
たまにやって来る。



「今日どう?」

北山さんに聞かれたら

「いいよ」

答えちゃう自分が嫌だ。



でも堪らなく気持ち良かった。

北山さんと寝るのが。



寝る部屋は
うちだったり、北山さんちだったり。



さすがに生理の時は断ろうとしたけど

「……ダメかー」

あんまりガッカリするから

「生理なの」

正直に言うと北山さんは真っ赤になって
恥ずかしそうにするから笑っちゃう。



「…笑わないでよ」

口を尖らせてハグしてくる北山さんは

「今日はコレで我慢するかな」

って離れていくから。



私の方が寂しくなった。



「何もしないもんね」

慌てて声をかけると

「もちろん」

北山さんは微笑む。



ただ、女としてそれはそれでどうなのか。



ある日、一緒に寝る前に
北山さんが突然話し出した。



「…明日ねー、幼なじみ?と出かけるの」

「へー」



聞き流してると

「同級生の友達の妹で取引先の子なんだけど」

北山さんは言う。



妹ってことは女の子じゃん。



「………そう」

「なんかね、好きな子とうまくいってないんだって。だから気分転換させてあげよーと思って」



言いながら私を抱き締める北山さん。



おかしくない?

興味無い子を
気分転換させたいってなる?



「…それって、北山さん」

「んー?」

「その子のこと……」

「………んー……」



生返事のまま寝息を立てる。

相変わらず寝るのが早い。



ついに好きな子見つけたのかな。

だとしたら、こうやってネフレするのも最後かもしれないね。



涙が溢れた。



……ほら、やっぱり後悔してる。



嫌な予感はしていた。

これは北山さんと寝るのが気持ち良すぎて
一緒に寝れなくなるのが嫌になってる。



鼻をすすると
北山さんがポンポン、って寝てるのにしてくれてる。

「大丈夫だぞー、A」

呟いた。



ドキッとした。

何で私の名前知ってるの?



………違う、思い出した。

前、北山さんちに来てた女の子の名前だ。



何で私と同じ名前なの?



切ない。

辛いよ。



しがみつくように
北山さんに抱きついた。

悔しいけど
北山さんの抱きつき心地はやっぱり良くて
すぐ眠れた。



もうこれで最後にしよう。



幸い、今日は私の家だったから
北山さんが起きる時私は寝たフリをして起きなかった。

そんな私に北山さんは頭を撫でて
そーっと部屋を出ていく。



さようなら、北山さん。



心の中で呟いた。

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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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