拾ってください。4 (ページ9)

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そのままの君でいて 5 ページ9

ドラマの打ち合わせの次の日は
私は休みで裕太は午後からだったから
裕太とようやくゆっくり過ごす。

お風呂も一緒に入って
お互いに体を洗いあって
ずっとくっついてて。

寝て起きてもまた抱き合って話していた。

そういえば疑問だった。

「裕太ピアノ買ったんだって？」

尋ねると

「うん」

詳しく話してくれると思ったら
裕太はそのまま黙っちゃう。

「役作り？」

「……ううん、違う」

「じゃあピアノ弾くために買ったの？」

「……んー」

なんだか裕太の歯切れが悪い。

あんまり突っ込んで聞かない方がいいのかな。

緩く抱き締められて背中をポンポンする裕太の手が気持ち良すぎて
だんだんまた眠くなってきた。

「言いたくないならいいよ？」

まだ起きる時間まで2時間くらいあるし。

目を閉じて裕太に寄り添うと
裕太がおでこにキスをする。

くすぐったくて顔を上げると
裕太がすごく優しい顔で私を見ていた。

「Aが見てる世界を見たくなったの」

「え？」

「ピアノってずーーっと昔にちょこっと習ってたけどすぐ辞めちゃったし」

そう言ってチュッてまたおでこにキスをくれる裕太は

「あとね、Aがいつか俺のうちでピアノ弾いてくれたらな、って思って」

少し照れた顔で言う。

ピアノを？

裕太の家で？

「…え？」

「いつかね、Aがうちに来てほしいなって思ったんだ」

裕太が珍しく照れた顔をしてる。

「え、でも買ったのって最近なんでしょ？」

「そう」

「私たち会ってなかったよね？」

「うん」

どうなるか分からないのに
ピアノ買ってたってこと？

裕太は恥ずかしいのか耳が赤くなってる。

私に顔を見られないようにする為なのか
私を緩く抱き締めて胸元に私が来るようにしてる。

「裕太」

「なーに？」

私が呼ぶと少し照れた声で返事が来る。

「行っていいの？裕太のおうち」

「うん、来て」

ポンポン、って背中のリズムが心地いい。

「おうちの改装終わったらね」

「ん」

なんか嬉しいな。

裕太のおうち行っていいんだ。

「ホントは俺の部屋にずっと住んでてほしいんだけど」

「それはさすがに…」

「なんでよー。俺と一緒にいてよー」

不満そうに裕太が言って抱き締めてくれて
そういえば美咲さんが裕太は仲直りしたらものすごくしつこいよ、って言ってたな。

という事は
やっぱり仲直り出来てるってことなのかな。

「ふふふ」

笑っちゃう私に裕太が不思議そう。