拾ってください。4 (ページ40)

今日:2 hit、昨日:25 hit、合計:133,080 hit

そのままの君でいて 20 T ページ40

久しぶりにAの家に行く。

改装工事も終わったし
Aの電子ピアノやキーボードも届いたから
いよいよAに鍵を渡す。

せっかくだから新しいイスとかスピーカーをつける
ゲームの部屋の準備がまだで。

そして今のミツと俺の仕事量だと
俺やミツとミツマネ的にも今の仮家の方が便利で
暮らし始めるのはまだ先だけど。

Aにも色々準備してもらうために
先に見てもらった方がいいと思った。

仕事が終わった時間が
一成くんが帰る時間に間に合いそうで
挨拶もだけど一緒にやるゲームを渡したいから
急いでAんちに行くと
ギリギリで間に合う。

そして一成くんを見送ったあと
早速Aに鍵を渡した。

「準備してるから明日おいでよ」

「準備？」

「Aがいつでもうちで過ごせる準備」

そう伝えると目を丸くして

「…え？」

俺を見て涙目になってて。

「いいの？」

小さい声で聞いてくるから

「当たり前でしょ？むしろAしかダメなのー」

笑って返すと俺に抱きついてくる。

「どうしよう、めちゃくちゃ嬉しい」

涙声でAが言う。
鼻も啜ってるし泣いてるみたいだね。

「あはは、良かった。じゃあ受け取ってくれる？」

「もちろん」

返事の後、Aからズズッて鼻を啜る音がする。

泣かすつもりは無かったんだどな。

「A」

声を掛けると涙でぐちゃぐちゃの顔を上げて

「たった数日なのに、バレンタインもロクに何も出来てないのに、会いたかったし寂しかった」

なんて嬉しい事を言ってくれる。

「一成くんが居たじゃん」

「一成と裕太は違うもん」

甘えてくるAが新鮮。

ここまで甘えたのって熱が出た時くらいだったのにね。
しかも今回は素で甘えてくれてるって事だ。

ちょっと前とは大違いなんだけど。

「やば、可愛いっ」

ギュッと抱き締めると

「ごめん、面倒だよね」

Aが離れようとするから逃げないように抱き締める。

新しい仕事や
千ちゃんのことで不安だったけど。

Aが変わらず俺を求めてくれてるのが嬉しくて。

「俺の一番はAだし、鍵を渡すのもAが初めてだからね？」

「…ホント？」

「ん、Aだけだよ」

伝えてキスをするとAから抱きついてきて。

不安になること無かったなー、なんて思って
Aをお姫様抱っこしてソファまで運ぶと
会えなかった時間を埋めるようにずっとくっついて過ごしたけど。

鍵を渡せば会えないとか無くなるよね？