拾ってください。4 (ページ33)

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そのままの君でいて 17 ページ33

「いただきまーす」

楽しそうな一成と

「いただきます」

仕事を終えて合流して緊張してる裕太と

「………」

この状況が落ち着かない私。

一成は「こっちのデパ地下楽しすぎなんだけど！」って軽く5人分くらいありそうな食べ物を買い込んでやって来た。

そしてこの状況。

まるで三者面談なんだけど。

「裕太さん、お酒は？」

「あんまり飲まないです」

「そーっすか」

「でもせっかくだし飲もっかな」

「うん、俺も飲もうかな」

一成がビールを取りに行く。

ちょっと一成、私には聞かないわけ？

「ていうか敬語辞めません？俺あんまり得意じゃないんで」

裕太が言うと

「あ、いいっすか？俺も得意じゃないんで」

一成が笑って「うん」って裕太も笑う。

「んじゃ、カンパーイ」

「カンパーイ」

一成と裕太は私を放ったらかしで
ビールで乾杯し合う。

「んまーっ」

「美味しーっ」

2人は何だか楽しそうで。

私は1人黙々とサラダをつまむ。

「で？ねーちゃんは何でテレビ出てるわけ？裕太さんの紹介か何か？」

って一成は急に核心をついてくるから。

「ううん、全然別で。先生の紹介で新しい仕事してるの」

「え？石井先生の？」

「うん」

ここ2ヶ月弱の一成と連絡をしていなかった期間の話をすると

「……ふぅーーん」

一成は複雑そうな顔。

「じゃあねーちゃんはもうコンクールとかは出ないわけ？」

「………多分」

「ふぅーーーーん」

一成はグビッとビールを飲み干す。

ピッチ早くない？

「まぁ、ねーちゃんが決めたならいいけど？ホントに後悔ないの？」

一成は
じーーーっと私を見て言う。

「……」

昔からこの一成は苦手だ。

見透かそうとするこの目。

「……うん」

「嘘つき」

ビシッと言う一成は本当に容赦なくて。

「なら何で間が開くわけ？わかりやすすぎて笑えるんだけど」

昔からそう。

この一成には何も言い返せない。

私の言いたい事は実は全部分かってる。

そりゃ最後が予選落ちなんて
あんな結果誰が後悔しないなんて言える？

ものすごく悔しかったし悲しかった。

でも

「それでも、気づいた事はある」

言うと一成だけじゃなくて裕太まで私を見る。

「コンクールの結果は悔しかったけど。じゃあ優勝出来たとしてその先何があるのかって考えた時に、私は本当にそこを目指してたのかなって思ったの」

これは先生にも裕太にも言ってない
最近気づいた私の気持ちだった。