拾ってください。4 (ページ25)

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そのままの君でいて 13 ページ25

結局当面は
俳優さんたちのバンドの助っ人と
千賀さんのピアノの仕事をする事に。

事務所は
私のピアノの先生の仕事と
バーでの仕事を
ちゃんと尊重させてくれた。

だからどんどん仕事を入れたりしないし
融通も効いた。

ただ

「依頼はたくさんあるよ」

西村さんが教えてくださる。

「何でですか？」

「若さとピアノの音色だよね。確かにtamaの音、あまり聞いた事がない何かがあるんだよねー」

なんて言ってフワッとした感じだけど
言ってくださって。

それを先生に話したら

「それは分かる気がするわ」

先生も言う。

私は全然分からないんだけど。

そして千賀さんからLINEが来る。

千賀次に会う時に
普段のスキンケアについて教えてね!

可愛らしいスタンプと共にメッセージが来た。

そもそもこれも練習をした後で話をしてたら

「tamaさん同い年なのに肌乾燥してない？」

なんて千賀さんが言い出したのがきっかけ。

「え？そう？」

そんなに気にしてなかったんだけど。

「化粧水ちゃんとしてる？それかオールインワンとか使ったりしてない？」

千賀さんは私の頬をさすって

「ほらカサカサ！ヤバいよ！女の子なんだから！」

千賀さんはカバンから何やら小瓶を出てきた。

「これ使ってみて！すごくしっとりするから」

もう千賀さんは有無を言わせない勢いだから
私もタジタジで。

「…ありがとう」

受け取ってみたものの私に合うのかな。

「普段どんなお手入れしてるの？」

千賀さんが聞いてくるから

「んー、最近はホットタオルで毛穴開いてから化粧水とかしてたんだけと…」

なんて話してたら

「千賀さん、そろそろ次に行かないと…」

酒井さんから声を掛けられる。

「tamaさん！連絡先交換！」

いい勢いで千賀さんに言われて

「はいっ！」

つい普通に返事をしちゃう。

いいのかな、交換しても。

酒井さんを見ると

「千賀さんから言い出してるんで」

って苦笑い。

連絡先交換の仕方が分からない私に
千賀さんは私のスマホを操作してLINEを開こうとする。

あ！裕太がバレちゃう！

慌てて

「えっと！どの画面出せばいい？」

千賀さんからスマホを取り上げると

「あ、ごめんね。つい興奮して…」

ってさすがに我に返って謝ってくる。

危ないー。

「肌のことになるとつい…」

「ううん大丈夫」

裕太が見られなければ。

ホッとする。

こうして私と千賀さんとの
ピアノとスキンケアが始まった。