拾ってください。4 (ページ21)

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そのままの君でいて 11 ページ21

会場に着くと
メンバーの皆さん揃ってて。

「俺たちも緊張しちゃってんのよー」

なんて笑ってる。

入口には皆さん有名人だしお花も沢山並んでて
控え室の前には差し入れや個人宛のお花が並んでる。

あぁ、本番だな。

いよいよ緊張してくる。

「tamaちゃんにもお花届いてるよ」

スタッフさんが控え室の前のお花を指さす。

「私にですか？」

何でだろう？

私がここに出ることは
先生くらいしか知らないはずだけどな。

先生がくれたのかな。

なんて思って見に行くと
黄色い小さなものすごく可愛いお花の籠に
『祝初舞台』って札と『YUTA』って名前。

…裕太だ。

思わず真っ赤になったんだろう。

「え？彼氏か何か？」

メンバーの方々が言ってくるけど
どこかで裕太ってバレたらと思うとどうしていいか分からなくて咄嗟に出たのが

「生徒さんです」

って言葉。

多分一番無難だし。

先生のところに通ってるなら
嘘ではないし。

お花が黄色だ。
裕太の色。

私のために用意してくれたんだ。

…どうしよう、ものすごく嬉しい。

ペンダントをギュッと握りしめた。

そのお花を見たら落ち着いてきて。

結果、ライブは大成功。

ノーミスで弾けて
楽しく演奏も出来た。

打ち上げも楽しくて

「また良かったら助っ人しに来てね！」

なんて言ってもらえる。

「私で良かったら是非！」

なんて話してたら武藤さんがやって来た。

「お疲れ様」

「お疲れ様です」

挨拶を交わしてるとバンドのメンバーさんたちが

「武藤ちゃん！tamaちゃん紹介してくれてありがとう！最高に良かったよ！」

「本当に助かった！」

って口々に言ってくださる。

「…そう、良かったです」

武藤さんが笑う。

すごく綺麗だった。

同性の私でも見惚れるくらい。

「歌番組のオファーが来てるんです。2つ」

「え！2つも？」

メンバーの皆さんは驚いてて
しかもそれが私も聞いた事がある番組で
1つはスペシャルで何時間もやるものだった。

「どうします？出演」

「「「「やります！」」」」

皆さんが答えてて

「tamaちゃんも是非！」

誘ってくださる。

…テレビか。

さすがにテレビは…と思ってると

「出るわよね？」

断る雰囲気を出せない圧を武藤さんが出してくる。

「あとね、tamaには別のオファーもあるの」

「…別のですか？」

聞き返すと
告げられた内容が思わず耳を疑うものだった。