太陽の当たる場所

夢の途中 15 ページ29

洗濯機が
あんなに汚いなんて。

こまめに糸くずとってたし
蓋はあまり閉めてなかったし
定期的に水で洗ってたし。

仕事柄汚れるのは分かってたから
こまめに洗ってたつもりなのに。



ものすごくショック。



でもニカがニコニコしてるから
これはこれでいいや、って思ってきた。



「終わったらバルコニー掃除する？」

「そうだね」



ニカはワクワクしてるみたいだけど。



…絶対期待するようなトコじゃないと思う。



「ねえ、ホントに期待しないでよ？」

「うんうん、大丈夫」



クロックスを手にしたニカは全然私の話を聞いてない。



カーテンを開けてバルコニーに出たニカは

「うわーーー！」

子供みたいに走り出す。




「え！やっぱり広い！」

「広くないよ」

「広いよー！ダンスの練習出来るくらい広い！！」



ニカがクルクル回ってる。
ワンコみたいでちょっと可愛い。



「ねぇ！！ここでダンスの練習とかしていい？」

「え！ここで？」

「うん！ほらここ中が暗いと鏡になるの！」



暗いとこを指さして自分たちが写ってるのを見てニカがものすごく笑顔になってる。



「ね！ね！特訓したい時来ていい？」

「…遠くない？」

「大丈夫っ！！」



ニカは楽しそうに周りを見た後で

「すごいねー！周り見渡せるし」

「周りに高い建物ないからね」

ここ10階だし都心から離れてるし。



「花火大会も見えて。遠いから小さいけどここから見えるの」

「えー！！いつ？来ていい？」

「来月。…構わないけどすごい人だよ？」

「うん！」

「いや『うん！』じゃなくて」



人混み平気なの？
ジャニーズなのに。



「大丈夫！バレないから」

「本当？」

「ちゃんと変装する」

「まさかあのサングラスするの？逆に目立つからね？」

「ふっふっふー、違うの。その頃には免許持ってるハズなの！バイクの」



ニカは嬉しそうに笑ってる。



…まさかニカ…



「だからヘルメット被ったままここまで来るからっ」

「それこそ不審者でしょうが！！！」



やっぱり！！

ヘルメット被ったまま歩くなんて相当な不審者だからね！？




「え？ダメ？」

「コンビニの入口にも書いてあるでしょ！？『ヘルメット着用したままの入店お断り』って」



キョトンとしてるニカに何だか笑っちゃう。



「でもAちゃんちはコンビニじゃないから大丈夫っ！」

さらにニカは楽しそうに返してくる。



まぁこのマンションあまり人住んでないし
うちまでならいいのかな。

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