サイボーグな彼女 12

好きすぎるから 10 ページ5

「やっと言った」

泣いてる私の涙を
指で拭いてくれながら宏光が笑う。



「ごめんな、俺が我慢させすぎだな」

宏光はごめんとか言いながら笑ってて
笑ってるけど少し困った顔をした。

「Aが自分の気持ち言わないのをいいことに嫌な思いさせたよな」



そうじゃないよ。

「私が子供みたいに嫉妬してるだけです」



「だからいいじゃん、嫉妬でもなんでもAのそーゆー素直な気持ちを聞けてうれしいよ？」

そう言って宏光は私に宏光の方を向かせて

「ん、嫌だったこと全部言ってみ？」

って優しい顔をして言う。



「…全部？」

「ん」



…なら言うけど。



「カメラがないのに女の人と必要以上にくっついてたこと」

「うん」

宏光は相槌だけ打つ。

「私が来ないからって他の子の頭を撫でてたこと」

「うん」

「他の人と買い物してたこと」

「……ん」

「なのに…」

言葉が詰まる。

涙が溢れて止まらない。



そんな私を宏光は抱き締めた。



「ごめん」



今までに聞いた事がない甘いトーンの『ごめん』に
やっぱり涙が止まらなくなる。



「俺が言えなくしたよな、『分かってるよな？』って。そう言われたらA何も言えねーよな」



そう。

宏光は関係ないからね、って意味で送ってくれたんだろうけど。
そう言われたら『うん』しか言えない。



「後ろめたかったら私と会った時にあんなに笑顔にならないとは思ったけど」

「あははは、まぁ確かに」

「でも本当に嫌だった」



宏光は笑ってるけど私は嫌だった。

宏光の服をギュッて握りしめて子供みたいに泣く私を宏光は抱き締めてくれる。



「ごめんな」

「ううん、分かってる」

「だとしてもごめん」



そう言って宏光は私の涙に音を立ててキスをする。
そして私の目をじっと見て

「ありきたりな言葉になっちゃうけど俺はAが好きで、Aだけが好き」

「…うん」

「ちょっと距離を置こうとすると敬語になっちゃうわかりやすくて可愛いとこもひっくるめてAが好き」

頬の涙を拭いながら優しい声で宏光に言われて
また無意識に敬語になってた事に気づく。



「あはは、無意識だったろー？」

そう言って頭を撫でてくれて。



「やっちゃったことはもう取り返せないから、これからで証明するから」

そう言って宏光は触れるだけのキスをしてくれる。



何回も何回も。



そうこうしてたら多分そろそろ3分経つ。

けどもう少しだけこうしていたくて
宏光の背中に腕を回す。

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