サイボーグな彼女 12

好きすぎるから 26 ki ページ37

ダメだ。

普通にしてようと
思えば思うほど意識する。



いつもなら炭谷さんとAが飲みの約束とかしてるとぜってーウザ絡みしてたのに
昨日炭谷さんと話してるのを知ってるから何だか絡みにくくて。



そんな俺にAが不思議そう。



「……んだよ」

つい口調もぶっきらぼうになって
さらに変な感じになる。



そんな俺に

「いえ、顔を洗った泡がついてるように見えたけど気のせいでした」

Aは俺から受け取ったタオルを畳むと

「クリームとかどこまで使いますか？」

化粧水とかを並べて洗顔をしまいながら淡々と聞いてくるAが
さっきはあんな顔してたのに素っ気なさ過ぎてそれも違和感だけど。



つっこまれると俺も困るから

「これとこれ」

必要最低限なものだけ取ると

「わかりました」

それ以外のものをAが片付けはじめる。



「パックとかですかね」

少ししてAが言う。



「は？」

パック？

なんの事？
思わず手が止まる。



「カレンダー撮影で台湾に来た時に皆さん帰りに買ってましたよね」



あ、みやげの話か。

ホッとして保湿クリームを塗る。



「あぁー、確かに」

「まだ乾燥続きますからね」

「そだな」



顔を上げた瞬間鏡越しにAとバチッと目が合う。



その時のAの目が俺がまっすぐ俺を見てて
何だか全て見透かされそうな目だったからついバッと目を逸らす。



あ、やべ。

これ絶対何か隠してますって態度じゃん。



「………」



Aが無言になる。



動く気配もなくて多分俺の事をじっと見てるんだろうけど。



少ししてAが動く気配。
俺の隣に来て使い終わった化粧水とかを片付けて

「後は大丈夫ですか？」

何事も無かったかのように鏡越しじゃなくて俺を見る。



「ん」

「かしこまりました」



Aは全てをキャリーにしまうと

「行きますか」

忘れ物チェックとかして部屋を出る準備をする。



「……いいの？」

俺、多分いまめちゃくちゃ感じ悪い態度Aに取ってるのに。



「何がですか？」

「怒らねーの？」

「だから何がですか？」



目が合ったAは少しオフな目をして

「…言いたくなるまで待ちますから」

口調は仕事中の口調で俺の頭をポンポンってしてキャリーを出口まで運んでる。



「行きますよ」

出口で振り返るAの顔はいつもの仕事中の顔。



切り替えろ、ってことだな。



「ん」



Aの頼もしい背中を見ながら
いい女だなーって思う。

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