妹。F 3 ページ45
兄貴とAに初めて会ったのは
俺が4歳の時だった。
俺には物心ついた時に父さんしかいなくて
ある日女の人と子供が2人うちにやって来た。
「今日から一緒に暮らすよ」
父さんが言う。
「…こんにちは」
挨拶すると女の人がニコッて笑って
「こんにちは、太輔くん、だよね」
ものすごく優しい顔だったのが印象的だった。
まだ子供の俺でも
あ、いい人なんだろうな、って思えるくらい。
「ほら、宏光。ご挨拶」
その女の人が言うと自分より少し年上っぽい男の子が
「こんにちは！おれ、宏光！こっちがA」
少し緊張した声で言う。
宏光、と名乗る男の子が小さい女の子と手を繋いでいた。
「今日から俺がお兄ちゃんな！毎日遊ぼ！」
手を出されて手を伸ばすと宏光がギュッて握る。
「ひろ…みつ兄ちゃん？」
「うん！みつ兄ちゃんっていいな！みつ兄ちゃんって呼んでよ！」
ぶんぶん振ってくれるみつ兄ちゃんは
ものすごく優しい顔。
「こっちのAはいま2歳！今日から太輔の妹だから！」
紹介されたAはみつ兄ちゃんの後ろからちょこんと顔を出す。
「Aちゃん？」
名前を呼ぶと少し反応したAは俺をじーっと見てる。
「…はじめまして、ぼくはふじがやたいすけです」
声を掛けるとAはまだじーっと見てて
「はい、あくしゅっ！」
見かねたみつ兄ちゃんが
俺の手を取ってAの手を握らせる。
ものすごく小さな手。
でも温かくてやわらかくて
触っただけでキュン、てした。
そして
「…たいーけ？」
にこーーってAが笑う。
その笑顔が
おひさまみたいだな、って思った。
まだ『たいすけ』って言えないその言い方も可愛くて。
「あははは！そーか。『たいすけ』って言いにくいのか」
みつ兄ちゃんは笑う。
「そもそも俺もたいすけもAからしたら兄ちゃんだもんな」
みつ兄ちゃんはAに向き直ると
「A、今日から兄ちゃんが2人だから俺が『みつ兄ちゃん』たいすけが『たい兄ちゃん』だね！」
って言うとAはまたじーっとみつ兄ちゃんと俺を見た後
「……みつにーちゃ？たいにーちゃ？」
ニパッて笑って
みつ兄ちゃんと俺の手をぎゅーって握る。
その時の笑顔がものすごく可愛くて。
「たいにーちゃ、あそぼ？」
舌っ足らずな言い方とその笑顔を見た瞬間。
この笑顔を
ずっと守りたい。
急に出来た妹のこの笑顔を
ずっと守らなきゃ。
そう思った。
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shizu(プロフ) - りぃ☆彡さん» コメントありがとうございます！気づいてなくてごめんなさい。やっと繋がりました。短編のつもりだったんですけどね…楽しみにしててくれて嬉しいです！ (2020年3月18日 5時) (
レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - はとさん» コメントありがとうございます！気づいてなくてごめんなさい。ようやくエンディングに向かいます！ (2020年3月18日 5時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りぃ☆彡(プロフ) - はじめまして。いよいよ主人公サイドと繋がりましたね！続きを楽しみにしています！ (2020年2月20日 22時) (レス) id: de1f37d540 (このIDを非表示/違反報告)
はと(プロフ) - はじめまして。いつも楽しみにしています。玉ちゃんがこの後、どんな行動にでるのか楽しみです。 (2020年1月26日 0時) (レス) id: bf18adaee4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：shizu
| 作成日時：2019年11月24日 7時
