すぐ近くにいる another story 3

秘めた想い T 19 ページ22

少しして気づく。



あれ？

何で私玉森くんに抱きついたの？



そう思ってから
おそるおそる目を開いたらやっぱり玉森くんにくっついて寝ていて。

自分の左腕には私を抱き寄せてる人の腕の感触。
多分玉森くんの腕だ。

おそるおそる見上げると玉森くんが私を見下ろしてて目が合う。



「おはよ」

玉森くんは弱みを握ったかのようにニヤニヤして私を見る。

「ごめんっ！私っ…」

て慌てて離れたら

「しーーーっ！宮田まだ寝てるから」

玉森くんに止められる。



玉森くんの向こうを覗き込むと
宮田くんも玉森くんにもたれて寝ていた。



「ごめんね、重かったでしょ」

「へーき、暖かかったよ」

私が言っても玉森くんはニヤニヤしてる。
あぁもう恥ずかしい。



「寒くない？お風呂入って温まる？」

「大丈夫、私も暖かかったから」

悔しくて言い返すと

「あぁそう…」

意外にも玉森くんは少し照れていてこっちまで照れる。



自分からドヤ顔したんだから責任もってほしいんだけど。



「お腹すいたね」

玉森くんが話を変えようとしたのか言う。


確かにお腹すいてきた。

焼肉を食べたのが昨日の夜で
いまもう次の日のお昼だ。



「この前宮田くんが食べたいって言ってたサンドイッチ屋さんでも行ってこようかな」

今は土日だけキッチンカーでサンドイッチ屋さんがこの近くに来る時間だ。

ひとまず少し玉森くんと物理的に離れていたい。



「あぁ喜ぶかも」

「じゃあ行ってくる。クロックス借りるよ」

「ん、お願い」



私は立ち上がると慌てて出掛ける。

走って玉森くんの家の外に出て深呼吸をする。



ダメだ。

玉森くんは他に好きな人いるんだし。



ってかこの発言自体おかしいか。

まるで私が玉森くんを好きみたいじゃん。



違うって。

玉森くんは他に好きな人がいるんだから。



お店の近くまで来て気づく。



慌てて出てきちゃったからお財布忘れてきちゃった。

仕方ないから引き返す。



宮田くんが寝てるから音をあまり立てないで
そーっと入ってリビングに向かう。

カバンがテレビの前だから
ドアの音を立てずにそっとリビングに入る。



入り口からソファー見ると2人は寄り添ってたから多分まだ寝てて。
玉森くんも寝ちゃったかな。

だから本当にそっと前に回って財布を手にしてから
起こしてないか心配で玉森くんたちを見たら
玉森くんは宮田くんの頬にそっとキスをして幸せそうに笑ってた。



あ、と思った瞬間
玉森くんと目が合った。

秘めた想い T 20→←秘めた想い T 18

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す