秘めた想い T 14 ページ17
「これアイツらの仕事だろ?
何でお前がやってんの?」
私を睨んだまま
伝票をポンって放り投げて玉森くんは言う。
アイツらって新人ちゃんたちのことだろう。
「その方が効率がいいから」
あの2人に嫌がらせさらて、なんて
情けないし言いたくなかった。
「これ今日俺がアイツらにやらせた分丸々なんだけど。あの2人今日1日何やってたわけ?」
「知らないよ、私は他の仕事してたし」
「ちゃんと答えろよ」
「知らないってば」
この伝票だって帰ろうとした私のロッカーに入ってたんだし。
いつの間にか合鍵まで作られたのかな。
「今朝渡した伝票だぞ?お前今朝打ち合わせで居なかったよな?何で持ってるわけ?」
「……」
言いたくなくて黙る。
黙ったままの私にため息をついてから
「じゃあわかった、質問変える。課長に何言われた?」
玉森くんは私を睨んだまま言う。
『課長』って単語を聞いた瞬間。
さっきの怖かった気持ちを思い出して。
私が玉森くんと体の関係なんて失礼なことを言ってきたのを思い出して。
恐怖と怒りで
ぶわっ、て涙がこみ上げてくる。
「…え?」
玉森くんが驚いた顔をしたけど
この理由はもっと言いたくなかったから
「怒られてただけだよ。パソコン切っといて、帰るから」
そう言ってロッカーに向かおうとしたら
「待てって」
そう言って玉森くんは私の腕を掴んだから
振りほどこうとしたけど全然離れない。
「…離してっ」
「ちゃんと理由言えって」
「イヤだ」
「何でだよ、悪いことしてないなら言えるだろ?」
「何も悪いことしてないから言う必要ないでしょ?」
ブンブン手を振り回して言い合う私たち。
しばらく手を振り回し続けてようやく玉森くんが諦めて手を離したのと
「もう放っておいて!」
って私の心からの声が出たのは同時だった。
「もういいでしょ!?今まであの子たちの仕事を私がやってたとしてなにか玉森くんに迷惑かけた!?」
そう言うと玉森くんはびっくりして私を見る。
こんな言い方。
玉森くんに嫌な思いさせたかも。
でももう私の言葉は止まらない。
「課長になにか言われたとしてそれが玉森くんに関係あるの!?」
そう言うと玉森くんは悲しそうな顔をした。
会社でこんな声を発したのも
玉森くんのこんな悲しそうな顔を見るのも初めてで。
言ってから後悔する。
あぁもう人として最低だ。
こんなのただの八つ当たりだ。
ごめんなさい、玉森くん。
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shizu(プロフ) - ぴょんさん» 初めてのコメントありがとうございます!私も好きなシリーズで続きを書きたくて続編も書きました。この想いがメインだったので他の話になった途端行進落ちたと話題になってます(笑)コメントありがとうございました! (2023年1月29日 13時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - あるっぺさん» コメント、全然気づいてませんでした…ごめんなさい。秘めた想いは私も好きで自分でたまに読み返してます。さすがにもう届かないかもしれませんが、気に入ってくれてありがとうございました!太陽の方もぼちぼち更新します。 (2023年1月29日 13時) (レス) @page45 id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん(プロフ) - 何度も秘めた想いを読み返しに来ちゃいます、本当に名作です、5回は読んでます、、(><)コメントを残したことがない気がして今初めてコメントしてみてます、本当にこんな素敵な作品を生み出してくれてありがとうございました! (2023年1月29日 1時) (レス) @page43 id: 0051795449 (このIDを非表示/違反報告)
あるっぺ(プロフ) - この度、BELOVEの映像化が発表され、途端に秘めた想いを読み返したくなり、朝から読み返して、朝から号泣です(笑)マストで何度読み返しても泣いちゃいます!そして、読み出すとTsideまで一気読みしちゃうのでぐったりです(笑)心地よい疲労です!太陽も楽しみにしてます (2020年10月10日 10時) (レス) id: 9a2c49dcd8 (このIDを非表示/違反報告)
あるっぺ(プロフ) - shizuさん、こんにちは。先日も太陽でコメントさせていただきました者です(笑)がっつりニカ担ですが、shizuさんの作品が好きで読破してまして、その中でも秘めた想いが大好きで。勝手な私の自己ランキング上位です(笑) (2020年10月10日 10時) (レス) id: 9a2c49dcd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:shizu | 作成日時:2019年11月3日 4時