拾ってください。

特別な日に 10 ページ42

裕太と
キスしちゃった。



彼氏でもないのに。

ファーストキスなのに。

好きかどうかも分かってないのに。



裕太はキスの度に
ちゅっ、ちゅっ、て音を立ててる。



最初の5回くらいは数えてた。

それから先は気持ち良くてよく分からなくなって。



私が好きかどうかも分からないって言ったら
私とどうこうなりたい訳じゃない、って裕太は言う。



じゃあどうしたらいいの？

逆に混乱する。



そして気づいたら裕太の腕の中。



裕太はまた唇を重ねてきて
唇に裕太の舌先がツンツンって触れる。



なに？なに？

くすぐったくてビクッてすると



「…口少し開けて？」



唇を離して裕太が言うから言われるままに口を少し開けると
あっという間に裕太の唇で唇を塞がれて
裕太の舌先が私の口の中にねじ込まれる。



「んーっ」

びっくりして離れようとしたら私の首の後ろに裕太の腕が回って逃げられない。




裕太の舌が私の口の中で動き回ってて
最初はびっくりしたけど
だんだん気持ちよくなってくる。



私の舌を見つけた裕太は舌を絡めてきた。



「んんんっ」



声が漏れちゃう。

裕太はそんな私の腰に腕を回してきた。



これってどうするのが正解なの？



されるがままになってしばらくすると
やっと裕太の唇が離れる。

ものすごく近くに裕太の顔がある。



「…止まんなくなっちゃってゴメン。でもキスしたい気持ちはホントだからキスしたことは謝らないね」



そう言って裕太は優しく笑った。



私はどうしていいか分からなかった。



でも正直言って裕太とのキスが気持ち良くて
嫌じゃなかったから
ただ黙って裕太を見つめる。



「……キレイな目」

そう言って裕太は私の頬を撫でる。



「吸い込まれそうになる、Aの目見てると」

「……そう？」



やっと出たのはこんな言葉。



「嘘つけなくて素直でまっすぐで綺麗な目。ずーっと見てたい」

「…褒めすぎだよ」

「Aの目、すごく好き」

裕太はそう言ってまた優しく笑う。



あ、私、裕太のこの顔好きだな。



だからつい

「私も裕太のこの優しく笑ってる顔好き」

そう言って手を伸ばして裕太の顔に触れたら
裕太が抱き締めてきた。



「じゃあ俺、いっぱいAに笑う」

「…ホント？」

「うん。Aのそばにいれたらずーっと笑っていられるから」



裕太がギューッと抱き締めてくれながら言う。




…そんなこと言われたことなかったから。



なんだか嬉しくなって抱き返す。

特別な日に 10 T→←特別な日に 9 T

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す