サイボーグな彼女 8

わからない？ 5 ページ45

アンケートに答えてるうちに
恋愛の質問に。

さすがに事務所を理解してるから際どい質問はないけど。



『好きでもない人に告白されても付き合えますか？』

『好きな人に好きな人がいたらどうしますか？』



…私にはタイムリーな質問だなー。



「なぁ」

北山さんが声を掛けてくる。

「はい」

「これAならどうこたえる？」

よりによってここで私の意見もとめますか？




「そうですね。好きでもない人と付き合うのは無いですね」

「へー」



私がそれで後悔したので。

炭谷さんとお付き合いした時
正直『好き』と『嫌いじゃない』の境界線が分からなくて
『嫌いじゃない』から付き合ってその結果がダメだったから。



「じゃあ『好きな人に好きな人がいたら』は？」

北山さんが私の顔を覗き込んできてる。



…これアンケートに飽きてますね？

しかも何でこの質問のタイミングなんですか？




「好きなのは自由ですよね」

北山さんもそう言ってましたよね。



「…ふぅーん」

そう返事するとアンケートに向き直る北山さん。



「そーだな。好きでもない人と付き合うのは無いよなー。多分自分が疲れるな」

言いながら伸びをする北山さん。



「…何でですか？」

「好きでもない人に合わせるのって大変じゃね？我慢しねーといけない場面が相当あると思う」



…なるほど。
確かにそうかも。

炭谷さんと付き合ってた時はほとんどそうだったな。

別に合わせるのが嫌じゃなかったけど
合わせたかったかっていうとそうではなかった。

だから付き合ってた最後の頃は
炭谷さんは社会人だったから『会おう』って言われても疲れてるなら会わなくていいって避けてたし
私から合わせようともしなかった。

だからどんどん会わなくなって
気持ちも合わなくなって。



「…Aが聞いてもらいたい話ってこのあたりの話？」

「え？」

「なんか顔がどんどん暗くなってるけど？」



言って私の頬に手を伸ばして触ってくる。

触ってもらってるうちに気持ちよくなってきた。



「…違う？」

「違わないです」

「…元カレさんか？」

「………はい」

素直に頷くと優しい顔をするA。



「悪かったな、皆でからかってたから昨日嫌だっただろ」

「そりゃ私もドラマか！ってツッコミましたしドラマなら最高に盛り上がる展開なんですけど」

そう思うけど

「私は本当にもう好きじゃないんです」

そう言って北山さんを見たら目を細めて笑って言う。



「ん、分かった」

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