お隣りさん S -side you- 10 ページ43
少しして
はぁぁーってため息をつく健永。
「Aってずるいよね」
「え？」
「サラッと俺が嬉しいこと言うから」
そう言って健永は笑う。
何のことだろう？
多分不思議そうな顔をしちゃってたんだろう。
そんな私に健永が優しい顔をして言う。
「この前Aは『物言わぬ貝になりたい』って言ってたけど俺は逆。色々言うAが本当に好き。その言葉に隠されてるAの気持ちが全部優しいんだもん」
ここへ来て最高の殺し文句。
…そう言う健永の方がサラッと嬉しいこと言ってくれてる。
しかも
真っ直ぐ私の目を見て健永が言うから
さすがにドキッとしたし
柔らかい言い方と声のトーンが最高に落ち着いて。
初めて聞く健永の口調が
大人な雰囲気でカッコイイって思っちゃった。
「あ、違うか」
健永がいつもの感じに戻って言う。
「え？何が？」
「『貝』じゃなくて『砂』だったよね」
そう言ってイタズラっぽく笑う健永。
いつもなら怒っちゃうけど
その前の言葉が嬉しかったから私も笑っちゃう。
「そうだよ『砂』もそもそも喋らないからね」
「あはは、そうだったね」
2人で笑い合っているうちに
一週間前に戻れた気がしてきた。
「Aは『砂』じゃなくてずっと『A』で居て？」
そう言って健永が私の両手を握ってくるから
「うん」
私も握り返した。
「俺も一緒に居て楽しい俺でいるから」
「うん」
2人で見つめ合ってまた笑い合う。
何だか怒ってたこともどっちでも良くなっちゃった私は
さっきの『このままでいい』が相当嬉しかったんだと思う。
「もうどうするか考え直さなくていいよ。今日から一緒にいてくれれば」
そう言うと健永はホッとするかと思ったら
「そもそももう突然居なくなったりしないから」
真剣に言うから
やっぱり健永って計算とかなくて素直に私に気持ちを伝えてくれてるんだなって改めて思う。
「今日休み？」
健永が聞くから頷くと
「ならもう今日から一緒に過ごそう」
って抱き締めてくる健永。
「え？携帯は？」
修理行かなくていいの？
「Aが仕事で俺が休みの時に行く。それよりこの一週間の穴埋めしよ」
そう言ってギュッてしてくれる。
嬉しくて私も抱き返した。
「とりあえず何する？」
「何しよっか」
お互い少し考えて浮かんだのは
「「スーパーで買い物しない？」」
ハモっちゃったから2人で笑い合う。
でも今日からは半分こしなくてもいいよね。
-END-
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shizu(プロフ) - mayumitsuさん» コメントありがとうございます！私もミツ担なのでどうしても北山さんの圧が強めになってしまいます。少しずつ更新しますのでよろしくお願いします！ (2019年4月10日 5時) (
レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
mayumitsu(プロフ) - こんにちは★こちらも読んでます(^-^)不器用な二階堂くんと、どうなるのか気になります。そして北山さんのiQOS、奪って吸える関係たまらんですね…!!!北山担なのでそこに興奮しました(;∀;)笑。 (2019年4月4日 18時) (レス) id: 90f4627b60 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：shizu
| 作成日時：2019年4月1日 8時
