サイボーグな彼女

マネージャー開始 6 ki ページ27

とにかくAさんの
目の動きが気になった。



ちょうど料理が運ばれてくる。

「食べてみてよー」

美味しい時はリアクションあるのかな。



「…おいしい」

目が少し開く。
ほんの少しだけど。

あ、美味しいんだ。

「だろーー？」

俺のオススメが気に入ってもらえたのと
目の動きが分かったのと
ダブルで嬉しくて笑っちゃう。




「ね、ね、ね、砂肝も食ってよ」



俺があんまり勧めるから不思議な顔をしてるAさん。
でも砂肝を1つ口に入れると美味しそうな咀嚼音と共に
やっぱり目を少し開く。

「美味しいでしょ？」

俺の言葉にAさんは真顔だけど小さく何度も頷く。
これは相当美味しいのかな。

それなら良かった。



「美味しいと思うもの一緒だと嬉しいね」

俺が言うと

「はい」

Aさんは顔は真顔だけど
よく見ないと分からないレベルで少し目尻さげて頷いてる。



これは少し距離縮まっただろうか？



なんて思ってたら
ふとAさんが言う。



「北山さんは、私がマネージャーでやりにくいところありますか？」

「ええっ！？」

なんだよ
そのマイナスな聞き方の質問。

やりにくい前提なの？



でもAさんは真剣な顔してる。



…じゃあちゃんと答えないとだよな。



腕を組んで考える。

「そーだなぁー。今んとこ、やりにくいところはないけど」

仕事はね。
仕事は全く困ってない。
むしろ助かってる。



多分俺は目の動きに気づけて調子に乗ったんだ。



だから

「もう少し、心開いてくれたらなーって思うくらいかな」

って言う。



すると
みるみる悲しそうな雰囲気になる。



やべ、間違えた！！



「あ、ゴメン、ダメとかじゃないんだけど！！」

慌てて言うけど、

「…ごめんなさい、どうしてもすぐに慣れなくて…」

顔は真顔だけど声は明らかに悲しそう。



ダメだ、せっかく少し分かるようになったのに、このままだとまただんまりなAさんに戻っちゃう。



どーしよ、どーしよ。



えーいっ！
一か八か！！

「よし、分かった」

俺はポンッ！て、思いっきりて手を打つ。
俯いてたAさんが顔を上げた。



「そもそも、俺らタメじゃん。距離縮めるために敬語辞めよ」



俺が提案すると

「え、無理です」

即、断られる。



「何でだよ！」

今日イチのレスポンスがコレって。
思わず笑った。

「タレントとマネージャーがタメ語で話すとかダメですよ」

真剣に返してくるAさん。



いーじゃん、別に。

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