サイボーグな彼女

出会い 5 ki ページ13

車に向かう途中

「どこか寄るところとかありますか？」

Aさんが聞いてくる。



「んー、いいや」

コンビニ寄りたかったけど
それよりAさんが知りたい。



彼女の後ろをついて行くとやや大きい車の前で止まったと思ったら
キーを操作してロックが解除される音。

やっぱりこの車？



「デカっ」



つい、声に出しちゃった。
失礼だよな。



でもAさんは特に気にしていない様子。
淡々と運転席に向かってた。



「ついでに、オレを拾ってもらう場所教えるから」

「はい」



助手席のドアを開けようとしたら
Aさんが止まる。



「…あの」

「ん？」

「前でいいんですか？」



Aさんの声に我に返った。


そか、俺が話したかったからつい前に来ちゃったけど普通後ろか。



「あぁ、説明しないとだから」

止められる前に車に乗り込んだ。

今までのマネージャーだったら注意されたかもだけど
普通に運転席に乗ってくれるAさん。



エンジンをかけると流れてくるキスマイ。



ナビに住所を登録してくれて
操作してるのを見守る。



「もう歌は全部聞いた？」

声を掛けると

「多分、7割くらいです」

操作しながら答えてる。



「へー。気に入った曲ある？」

「『Hair』と『FORM』と『Diamond Honey』が好きです」

「え、俺のソロ曲も？」



ちょっと嬉しい。



「はい。あと、『ずっと』も好きです」

「『ずっと』？」

またマニアックな。

「サブタイトル忘れましたけど『光のシグナル』のカップリングです」

「…へー」



懐かし過ぎて咄嗟に出て来なかった。

あー
曲調確かに好きだな。



ナビの設定が終わったAさんは、

「動きます」

きちんと声をかけてから発車させてくれる。

「はいはーい」



「運転、上手いね」

しばらく走ってるのを乗ってて思った。
すごいスムーズ。ブレーキも嫌じゃない。

「ありがとうございます」

返してくれるAさん。




あ、そろそろ聞かなきゃ。

「好きな食べ物なに？」

「お好み焼きとかたこ焼きとか、粉もんです」



「学生時代の部活は？」

「中学から大学まで吹奏楽です」



「楽器は？」

「クラリネットとテナーサックスです」



「嫌いな食べ物は？」

「無駄に甘い物とパイナップル入の酢豚です」



「…なんですか？この一問一答」

さすがにAさんがつっこむ。

「え？オレがAさんのこと知りたくて聞いてるだけ〜」

呑気に答える俺にAさんは不思議顔。

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