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先の約束 ページ42

Aside


私は複雑で何も返せなかった。
そしたらたいぴーが言う。

「静岡来る時は絶対連絡するから」

静岡にまた来てくれるんだ。
会えるかもしれないんだ。
それだけで嬉しかった。

「また電車止まるかもよ?」

…もう笑いに変えたかった。
なんか泣きそうになってた。


「そしたら今度は俺がお茶吹く」

そう来たか。
私は笑った。多分ちゃんと笑えてたはず。


「今度は避けるよ」

「いや、俺吹き付けるから」

私たちは笑い合った。


その直後、真上を貨物電車が通る音がした。

人の少ないところで待ってるから、
電車の音がやけに響く。



「あれ?Aちゃん新幹線じゃないよね?」

「うん、東海道線っていう普通の電車。3駅なんだけど、山手線の3駅とは訳が違うレベルの遠さで、川と山越えるから」

「電車、もう動いてるんじゃないの?」


…あ、バレた。


「…お見送りしたくて」


もう少し。
もう少しだけ、一緒に居たかった。


たいぴーは何も言ってくれなかった。

ヤバい、早く帰った方が良かった?



「静岡ってさー、電車1本しか通ってないじゃん」

「あー、東西にしかないね」


あ、話題が変わった。ホッとする。


「他のとこ行きたい場合どうするの?」

「バスかクルマだね。静岡住んでたら免許は必須だよ」


バスも私の最寄りは1時間に2本しかないし21時には終わるから
飲みの時以外はほぼクルマ。

昨日も駅からタクシーのつもりだった。



「へー、Aちゃんも持ってるの?」

「そりゃもちろん!小さいけどクルマも持ってるよ」

「え、じゃあ石垣いちごも狩りに行けるの?」

「高いから1回しか行ったことないけど、夢のようにイチゴ食べれるよ」


私の言葉に顔を輝かせるたいぴー。


「めちゃくちゃ行きたいんだけど!!」

「いや、春しか出来ないよ?」

「春!!!絶対行こう!!!!!」


めちゃくちゃ嬉しそうに言うたいぴー。

春までの約束が保証された。
どうしよう、嬉しい。


ただ、心配なことが。

「…私の車、ホント小さいしスモーク貼ってないよ?」

「大丈夫っしょ、車の中なんて見なくない?まあ、さすがに帽子とサングラスはした方がいいかもだけど」

確かに。
人の車の中なんてそうそう見ないな。


「クルマ、キスマイのツムツム乗ってるよ」

「マジで!嬉しいんだけど」

「藤北で乗せてる」

「そこにリアル藤ヶ谷乗るって面白いな」


…想像したら面白いより私の運転にたいぴー乗るって緊張しかしないけど。

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作者名:shizu | 作成日時:2018年10月5日 4時

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