世間は狭い ページ25
「えーー！！隣に居たなんて気づかなかったー！めっちゃ酷い話してたのに」
「全然気づかなかったです！私も職場の人と飲んでたし、1人になってからはずっとデザイン考えながら音楽聴いてたし」
「ヤバイヤバイ、聞かれてなくて良かったー！めっちゃ恥ずかしい失敗談話してたしー」
また赤くなるアコに慌てる芋ロックの彼女。
「でもバリバリ働く日向さんの恥ずかしい話気になりますー」
ふふっと笑う芋ロックの彼女。
初めて笑った顔見た。笑顔が可愛い。
「あ、話しましょうか？」
「た…黙って！！！」
ついつい言う俺にアコが怒る。
一瞬詰まったのは「太輔は黙って」って言いそうになって、これ以上バレるのを防いでくれたんだと思う。
そんな中、
「あの…この状況一度整理していいですか？」
1人仕事モードのマネージャーは完全置いてけぼりだった。
アコが、あ、はいはい、と
「こちらは、私のお客様で。ネイリストのA様。近くのネイルサロンでご指名入りまくりの売れっ子ネイリストさん」
「売れっ子ネイリストは大げさです！普通のネイリストです！！」
慌てて否定するAさん。
「いやいや、評判聞くよー。センス良くてトークも楽しくてって。私もこの仕事してなかったらお願いしたいもん」
「…絶対大げさです…」
アコの言葉に真っ赤になるAさん。
はぁーネイリストかー。
デザイン考えてたから色鉛筆が転がってきたわけね。
「それを言うなら日向さんの方が凄いです！カリスマ店員なんですから！！」
「へーー」
凄いってのは聞いてたけど、あまりアコの仕事って聞いたことないから新鮮。
「1人1人の話や生活や好み聞いて、ちゃんと合うのを提案してくれるんです！無理に高いもの買わせたりとか絶対しないんで、いつも相談させてもらってます！」
…おい、俺への売り方とは全然違うじゃねーか。
思わずジロっと睨むと肩をすくめるアコ。
「…まぁ、立ち話もアレだし。座る？」
「えっ！？」
俺の言葉に驚くAさんと、えっ？てなるマネージャー。
「あぁ、大丈夫ですよ、A様なら口堅いし。今まで接客してて聞いてた方の話が太輔のことなら絶対問題ないですよ」
アコもフォローする。
思わずAさんを見ると真っ赤になって固まっている。
「…忘れて下さい…」
「無理よー、でも逆に安心だわ。A様なら大丈夫だわ」
…一体どんな話してんだ？？
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作者名：shizu
| 作成日時：2018年10月5日 4時
